診療報酬改定中間まとめへ意見を整理 中医協

2023年 8月 30日

 中央社会保険医療機関(厚生労働相の諮問機関)は、8月30日、診療報酬改定の中間取りまとめに向け、各項目に関するこれまでの主な意見を紹介した。

 救急医療では、三次救急医療機関が増加したこともあり、本来、二次救急医療機関で対応すべき患者も三次医療機関で対応されていることが課題とされた。

 入院医療については、高齢者の救急搬送件数の増加への対応として二次救急に対する評価とともに、三次救急からの下り搬送を評価すべきとの意見があった。

 なお、誤嚥性肺炎や尿路感染症の入院治療は、対応可能な地域包括ケア病棟での対応が必要であるが、地域包括ケア病棟は看護配置が 13 対1であることから、対応できる救急医療には限界があることも認識すべきとの考えが示された。

 在宅医療に関しては、患者が希望する場所で看取りがなされるよう、診療報酬上も適切な対応を検討していく必要があり、地域でICTを有効に活用して情報連携を充実させることが、今後の需要増加に対応する上で不可欠であるとされた。

 訪問診療・往診については、都市部の規模の大きいクリニックと地方の点在するクリニックでは事情が異なることから、地方では医療機関同士で補完しあう形でかかりつけ医機能を推進していく必要があるとの指摘があった。

 訪問看護では、24時間対応体制を確保するため、事業所の体制整備や事業所間の連携を推進していくことが必要とした。

 訪問歯科に関しては、施設などで実施される日常の口腔衛生管理と、医療として実施される訪問歯科衛生指導では役割が異なるため、要介護者の口腔健康管理が推進されるよう検討することが求められた。

 在宅薬剤管理では、連携を進めるため医師の訪問に同行した場合などについて、評価を含めて検討すべきとの考えが示された。

 訪問栄養指導については、口腔や栄養のスクリーニングをしてニーズを把握し、近隣の医療機関や老健などとも連携して人材が地域で活躍できる仕組みの検討する必要があるとの意見があった。

 歯科に関しては、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の役割を明確にすることや、回復期病院や慢性期病院での口腔と栄養の管理が一体的に行われることが重要であるとされた。

 調剤については、次回改定は介護報酬との同時改定でもあり、薬局の体制の充実やかかりつけ機能の強化、質の高い薬学的管理の提供、医療・介護の関係者や関係施設などとの連携が一層進むような方策が求められた。

 働き方改革では、地域医療体制確保加算を算定している医療機関で、時間外労働時間が長い医師の割合が高くなっていることから、医師の労働時間短縮の取り組みが進む施設基準であるべきとした。 

 小児外来では、24 時間対応はかかりつけ医機能の極めて重要な要素であり、これ以上の要件緩和はすべきではなく、小児急性期医療では、医療的ケア児やNICUからステップダウンしてくる小児の増加を踏まえ、さまざまな需要を受け止めきれているのか検討が必要ではないかとの意見があった。

 周産期医療については、ハイリスク妊産婦が増加しており、メンタルヘルスケアの重要性など、妊娠中から産後まで切れ目なく支え続けることが重要性が指摘された。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」🆕

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会🆕

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

 東京商工リサーチの調査によると、訪問介護事業者の2025年の倒産(負債1000万円以上)が11月末までに85件に達し、これまで最多だった23年67件、24年81件をすでに超え、3年連続で最多を更新した。  人手不足や24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、人件費やガソリン代、運営コストの上昇が要因と見込まれる。  25年の訪問介護事業者の倒産は11月末までに85件(前年81件)で、3年連続で年間最多を更新した。...

2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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