中央社会保険医療機関(厚生労働相の諮問機関)は、8月30日、診療報酬改定の中間取りまとめに向け、各項目に関するこれまでの主な意見を紹介した。
救急医療では、三次救急医療機関が増加したこともあり、本来、二次救急医療機関で対応すべき患者も三次医療機関で対応されていることが課題とされた。
入院医療については、高齢者の救急搬送件数の増加への対応として二次救急に対する評価とともに、三次救急からの下り搬送を評価すべきとの意見があった。
なお、誤嚥性肺炎や尿路感染症の入院治療は、対応可能な地域包括ケア病棟での対応が必要であるが、地域包括ケア病棟は看護配置が 13 対1であることから、対応できる救急医療には限界があることも認識すべきとの考えが示された。
在宅医療に関しては、患者が希望する場所で看取りがなされるよう、診療報酬上も適切な対応を検討していく必要があり、地域でICTを有効に活用して情報連携を充実させることが、今後の需要増加に対応する上で不可欠であるとされた。
訪問診療・往診については、都市部の規模の大きいクリニックと地方の点在するクリニックでは事情が異なることから、地方では医療機関同士で補完しあう形でかかりつけ医機能を推進していく必要があるとの指摘があった。
訪問看護では、24時間対応体制を確保するため、事業所の体制整備や事業所間の連携を推進していくことが必要とした。
訪問歯科に関しては、施設などで実施される日常の口腔衛生管理と、医療として実施される訪問歯科衛生指導では役割が異なるため、要介護者の口腔健康管理が推進されるよう検討することが求められた。
在宅薬剤管理では、連携を進めるため医師の訪問に同行した場合などについて、評価を含めて検討すべきとの考えが示された。
訪問栄養指導については、口腔や栄養のスクリーニングをしてニーズを把握し、近隣の医療機関や老健などとも連携して人材が地域で活躍できる仕組みの検討する必要があるとの意見があった。
歯科に関しては、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の役割を明確にすることや、回復期病院や慢性期病院での口腔と栄養の管理が一体的に行われることが重要であるとされた。
調剤については、次回改定は介護報酬との同時改定でもあり、薬局の体制の充実やかかりつけ機能の強化、質の高い薬学的管理の提供、医療・介護の関係者や関係施設などとの連携が一層進むような方策が求められた。
働き方改革では、地域医療体制確保加算を算定している医療機関で、時間外労働時間が長い医師の割合が高くなっていることから、医師の労働時間短縮の取り組みが進む施設基準であるべきとした。
小児外来では、24 時間対応はかかりつけ医機能の極めて重要な要素であり、これ以上の要件緩和はすべきではなく、小児急性期医療では、医療的ケア児やNICUからステップダウンしてくる小児の増加を踏まえ、さまざまな需要を受け止めきれているのか検討が必要ではないかとの意見があった。
周産期医療については、ハイリスク妊産婦が増加しており、メンタルヘルスケアの重要性など、妊娠中から産後まで切れ目なく支え続けることが重要性が指摘された。