7月24日、第220回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて訪問系サービスなどについて議論した。
議論の対象となったのは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、居宅介護支援・介護予防支援、福祉用具・住宅改修の7類型。それぞれについて前回報酬改定の内容や、サービス提供の状況、現状の課題などが示された。
訪問介護の事業所数は2017~19年は人手不足のため減少傾向にあったが、20~22年は微増している。20年以降のコロナ流行で、通所サービスから訪問介護にシフトしたとみられる。
しかし人手不足は深刻で、有効求人倍率を比較すると施設介護員の3.79に対し、訪問介護職は15.53(いずれも2022年度)と高い水準だ。
ケアマネジャーから紹介されたのに訪問介護事業所がサービス提供を断った理由は「人員不足により対応が難しかった」が90.9%に達する。さらに、「訪問先までの移動時間が長く対応が難しかった」も27.3%であった。
訪問入浴介護の事業者数は2012年をピークに減少が続く。一方、サービス受給者数は21、22年と2年連続で増加した。訪問介護同様、通所介護が休止するなどして入浴できなくなった利用者が訪問入浴にシフトしたと考えられる。
2020年から22年にかけて、ここ数年横ばい。2016年のピーク(4万3440)から少し減っている。一方、認知症対応型通所介護は減少傾向にある。ピークは2015年の3787で、2022年は3098であった。
事務局は、認知症対応型でない通所介護でも、認知症の利用者に対応できる事業所が増えてきたことが背景にあると分析する。
訪問看護事業所は増加傾向にあり、受給者数も年々増加している。医療処置の実施件数は「褥瘡の予防」「緊急時対応」「褥瘡以外のきずの処置」の増加が顕著で、医療ニーズの高い在宅療養者が増えている。訪問リハビリテーションでは、アウトカム評価や認知症対応などが焦点となる。
居宅介護支援・介護予防支援では、利用者ニーズの多様化に対してケアマネジメントの質をどう向上させるかが論点として提示された。
委員からは、とりわけ訪問介護や居宅介護支援で人員不足が深刻と訴える声が相次いだ。訪問介護について、「中山間地では利用者宅から利用者宅に移動する時間が長くガソリン代などのコストもかかる。一方、都会では駐車場代が高い。サ高住への訪問とは分けるべき」「人手不足なので身体介護のみとし、生活援助は総合事業に移行」「初期認知症では生活援助は不可欠。移行してはならない」などの意見が出された。