中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は7月12日、来年度の診療報酬改定に関する検討項目のうち、在宅医療について厚労省が論点を示し、委員が意見を述べた。
論点として挙げられたのは、訪問診療・往診、訪問看護、歯科訪問診療、訪問薬剤管理、訪問栄養食事指導の各項目である。
訪問診療・往診については、実施している診療所の数は横ばいである一方、病院は増えており、在宅患者訪問診療料の算定回数も2014年から一貫して増加している。しかし、都道府県別に見るとばらつきがあり、人口当たりで最大3.5倍の差が生じている。
この状況に対し、診療側委員から訪問診療・往診を行う機関としては①かかりつけ医②往診・訪問診療専門クリニック③メガ在宅の3つがあり、②③の有無が算定回数に影響しているのではないかとの指摘があった。
専門クリニックやメガ在宅は、地方では事業が成り立ちにくいことから、地域差ごとに訪問診療・往診が可能になる体制を考えていくことが必要との考えも示された。
訪問看護に関しては、ターミナルケアや医療保険の利用者も増えている。このためオンコールに備え、24時間体制を取る必要があり、看護師が精神的に負担を感じていると専門委員が指摘した。
こうしたことから訪問看護ステーションの大規模化が進んでいることが厚労省の資料で示され、委員は事業所間の連携が必要と述べた。
歯科訪問診療では、在宅医療サービスを実施する診療所の割合は増加しているものの、2020年でも2割にとどまっている。
その理由としては「必要な機器・機材がない」「時間が確保できない」「依頼がない」が上位を占めており、委員から訪問診療を提供する体制の構築を求める意見があった。
訪問薬剤管理については、厚労省の調査で薬局の7割が「在宅対応あり」と回答。在宅訪問時の薬剤管理上の問題点として、ターミナル期の患者では医療用麻薬の管理が多いことが挙げられた。
医療用麻薬は種類が多く、廃棄量も多いことから、それへの診療報酬上の評価を求める意見が委員から出された。
訪問栄養食事指導では、算定回数は増えているが、月に約1万回程度と少ないのが現状だ。その理由として、病院では「管理栄養士が訪問指導を行う体制が整っていない」、診療所では「管理栄養士がいない」との回答が多く挙げられている。
このため、管理栄養士が配置している在支病や栄養ケア・ステーションの活用も含めた指導の体制整備が求められていることが示された。