中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は6月14日、医師の働き方改革をめぐり議論した。
来年度から施行される医師の時間外労働上限規制に向け、これまで地域医療体制確保加算の創設、手術・処置の休日・時間外・深夜加算の要件の見直し、多様な勤務形態やタスクシェア・タスクシフトの推進などの取り組みが行われてきた。
しかし、厚労省の調査では、こうした取り組みにもかかわらず、医師の長時間勤務があまり是正されていないことが示された。
勤務医への調査では、1年前に比べ勤務時間が短くなったと回答したのは12%で、変わらないとの回答が77%を占めた。長くなったと回答した医師も11%いた。
医師の勤務状況の改善の必要性を役職別にたずねたところ、部長・副部長や非管理職医師などでは、50%以上が改善の必要性を感じているのに対し、院長・副院長などは55%以上が現状のままでいいと考えていることが分かった。こうしたことも医師の長時間労働の是正が進んでいないことの一因と見られる。
医師の負担軽減策の実施状況では、薬剤師による投薬に関する患者への説明が47%で最も多く、次いで薬剤師による患者の服薬状況、副作用などに関する情報収集と医師への情報提供が44%となっている。
タスクシェア・タスクシフトの観点では、病棟薬剤師の配置により、8割以上の医師が負担軽減と医療の質向上について効果があると見ていることが分かった。
ただ、ドラッグストア勤務の薬剤師などに比べ、病棟薬剤師の賃金が低いことから、病棟薬剤師のなり手がいないことが委員から指摘された。
看護師が特定行為研修を行うことでもタスクシェア・タスクシフトを図ることを進めているが、10万人程度養成するという目標に対し、昨年度で1万人にも達していないことが示された。
また、看護職員の負担軽減のためには看護補助者(看護助手)の活用も重要だが、介護職と業務内容が重なり、介護現場で処遇改善が進んだため、看護助手の希望者が少ないことが委員から指摘された。
さらに、看護の専門委員が、そもそも看護補助者という職務をハローワークの職員さえ知らないという現状を紹介していた。