厚生労働省は12月23日、2021年度の高齢者虐待に関する調査結果を公表した。特別養護老人ホームなどの施設職員による虐待と認められた件数は739件で、前年度から144件増え過去最多となった。
相談・通報件数も2390件で同293件の増加。相談・通報者は2713人で、当該施設の職員が808人で最も多く、次いで施設管理者であった。
虐待を受けた高齢者として特定された 1366 人のうち、虐待の種別(複数回答)では「身体的虐待」が 703 人で最も多く、次いで「心理的虐待」521 人、「介護等放棄」327 人であった。
また、1366人のうち「身体拘束あり」は332人で全体の4分の1ほど。身体拘束が虐待につながる可能性があることが示された。
虐待の発生要因としては、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が415件で最も多く、次いで「職員のストレスや感情のコントロールの問題」が169件で、新型コロナへの対応や介護職員不足などが背景にあると考えられる。
「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」も159件あった。虐待認められた739件の施設のうち、201件が過去に何らかの指導を受け、過去にも虐待が発生していたケースが146件あったことから、「虐待を助長する組織風土」が改善されないまま運用されている施設が一部にあると見られる。
一方、家族や親族など高齢者の世話をしている養護者からの虐待件数は1万6426件で、同855件減少した。ただ、相談・通報件数は3万6378件で増えている。