オン資導入の経過措置など承認し答申 中医協

2022年 12月 23日

 厚生労働省の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)は12月20日、オンライン資格確認の導入の原則義務付けに関する経過措置と医療情報・システム基盤整備体制充実加算、医薬品の安定供給についての加算に関する諮問に対し、答申書を取りまとめた。

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本田顕子政務官(左)に答申書を手渡す小塩隆士会長

 来年4月1日からの原則義務付けに当たり、システム導入が間に合わない医療機関・薬局に対する経過措置については、来年2月末までにベンダーと契約したもののシステム整備が未完了の場合は遅くとも9月末までに、光回線のネットワークが未整備の場合は、回線が整備されてから6カ月後までにシステムを整備する。

 また、訪問診療のみを提供する医療機関については、訪問診療のオンライン資格確認(居宅同意取得型)システムの導入を再来年4月までに、改築工事中・臨時施設の場合は改築工事・臨時施設が完了・終了するまでに整備。廃止・休止を計画しているところは遅くとも再来年秋までに廃止・休止するものとする。

 さらに、自然災害などにより導入が困難であったり、高齢の医師でレセプト取り扱い件数が50件以下であったりするなど、特に困難な事情がある場合は事情が解消されるまでの期間を経過措置の期限とした。

 21日の大臣折衝で唐突に打ち出され、支払側委員から反対意見が出されていた医療情報・システム基盤整備体制充実加算に関しては、大臣合意の重みを勘案して導入することが承認された。

 期限は来年4月から12月までの9カ月間。初診・調剤では、現行のマイナンバーカードを利用しない場合の加算に上乗せして加算される。また、再診の場合は新たに加算を設ける。このため、マイナンバーカードを利用しない患者は、窓口負担が増えることになる。

 一方、医薬品の安定供給についての加算では、薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付する際、患者に十分な説明をすることと、施設内の見やすい場所に説明を掲示するという追加の施設基準を満たしている場合、現行の一般処方加算に上乗せして加算される。

 後発医薬品使用体制加算、外来後発医薬品使用体制加算、薬局の地域支援体制加算についても、追加の施設基準を満たすことで加算が上乗せとなる。

 医薬品の安定供給に関して、委員からは薬価や診療報酬だけで改善するものではなく、むしろ医薬品業界の抜本的な改革が必要という意見が多数出されていた。

 また、医療情報・システム基盤整備体制充実加算がほとんど議論されずに導入されたことについて懸念を示す考えが、複数の委員から述べられていた。

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制度見直しの議論続く 介護保険部会🆕

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会🆕

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

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2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

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 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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 「持続可能性の確保」の内容は
 
 ●1号保険料負担の在り方
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 ●軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方
 ●被保険者範囲・受給者範囲
 ●金融所得・金融資産の反映の在り方
 
 など、注目度が高い項目が多く、これまでも議論が続いてきたが、今回は事務局から具体的にどうするか、施策の方向は示されていない。
 
 ケアマネジメントに関する給付の在り方については、他サービスと同様に幅広い利用者に負担を求めること(ケアマネジメント有料化)や、その判断にあたって利用者の所得状況を考慮することをどう考えるか、住宅型有料老人ホームの入居者に係るケアマネジメントについて利用者負担を求めるか、などの論点が示された。

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