社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)介護保険部会は11月28日、「全世代型社会保障構築会議の報告」と「給付と負担」を議論した。
全世代型社会保障構築会議は24日に第9回を開催した。介護については、介護保険制度の改革について、在宅サービス基盤の整備、介護職員の働く環境の改善、制度の持続可能性を論点として掲げた。
介護保険の給付と負担については、これまでの部会で以下7項目が提示されている。
(1)被保険者範囲・受給権者範囲
(2)補足給付に関する給付の在り方
(3)多床室の室料負担
(4)ケアマネジメントに関する給付の在り方
(5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方
(6)「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準
(7)高所得者の1号保険料の負担の在り方
それぞれの主な論点は以下の通り。
(1)被保険者範囲・受給権者範囲
・第2号被保険者の対象年齢引き下げと第1号被保険者の対象年齢引き上げ
・障害福祉など他分野との関係も整理
(2)補足給付に関する給付の在り方
・公平性確保の観点から、マイナンバーの活用を含めて精緻な資産把握を
(3)多床室の室料負担
・老健、特養、介護医療院の多床室の室料負担について、在宅サービスの負担との公平性を重視する
・老健は療養支援、特養は事実上の生活の場、介護医療院は医療提供の場であり、機能の違いを考慮する
(4)ケアマネジメントに関する給付の在り方
・有料化による利用控え、セルフプラン増加によるケアマネジメントの質への影響
(5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方
・総合事業の実施状況、認知症で要介護1・2の人へのサービスの質、訪問介護の人材不足など幅広い観点
(6)「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準
・2022年10月に施行された後期高齢者医療制度の「患者負担2割」(所得上位30%)との関係
・介護保険は医療保険に先行して2015年に「2割負担」が導入されている
(7)高所得者の1号保険料の負担の在り方
・低所得者の保険料上昇を抑制する必要から、高所得者の標準乗率の引き上げと低所得者の乗率引き下げを検討
これらのうち、厚労省は3、6、7を優先して検討し、それ以外は事実上先送りするとの見方が出ている。