厚生労働省は9月16日に公表した2022年版の厚生労働白書で、日本の人口構造について「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化しているとの現状認識を示した。すでに減少に転じている現役世代人口は2025年以降、さらに減少が加速するとした。
2040年に必要と見込まれる医療・福祉就業者数は1070万人なのに対し、同時点で確保が見込まれるのは974万人と推計。人材確保を現下の社会保障における最重要課題の1つに挙げた。
医師数は2008年以降、医学部臨時定員の増加により、毎年3500~4000人増え、2029年頃に均衡する見込み。看護職員の就業者数は新規養成・離職防止・復職支援により増えている。
しかし、いずれも依然として地域による偏在のほか、医師は診療科による偏在、看護職員では訪問看護など領域による偏在があり、これらの対応が必要となっている。
介護職員・保育人材については処遇改善を実施。介護職種の離職率は2019年に初めて産業計を下回って低下傾向にある。ただ、いずれも有効求人倍率は職業計よりも高い水準で推移し、人手不足の状況は変わっていない。
今後の方向性としては、持続可能な社会保障制度の実現のため、安定的な医療・福祉サービスの提供が不可欠として、人材確保・イノベーションの導入を推進する。
また、健康寿命の延伸、イノベーションやタスク・シフトシェア、地域共生社会や偏在対策、医療法人・社会福祉法人の多事業経営・法人間連携など地域の実情に応じた取り組み、処遇改善、多様な人材の参入促進に取り組む。