社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)介護保険部会は7月25日、介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進について議論した。
具体的な内容は①総合的な介護人材確保、②地域における生産性向上の推進体制、③施設や在宅におけるテクノロジーの活用の推進、④介護現場のタスクシェア・タスクシフティング、⑤経営の大規模化・協働化、⑥文書負担の軽減、⑦財務状況等の見える化、の7つ。会議の冒頭、事務局(厚労省の各課)がポイントを説明した。
第8期介護保険事業計画(2021~23年度)に基づいて都道府県が推計した介護職員の必要数は、2023年度は233万人、40年度は280万人だ。19年度の職員数は211万人だったので、23年度までに22万人、40年度までに69万人増やす必要がある計算である。
介護業界の人材不足は長く続いており、これまでも処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止、介護職の魅力向上、外国人材の受け入れといった様々な施策が実施されてきた。にもかかわらず、介護現場の人手不足感は解消していない。
こうした背景から、①については、介護人材のあり方を「まんじゅう型」から「富士山型」へ転換して高い専門性を有する介護人材を確保することや、介護福祉士の資格取得をめぐる施策が行われている。
②~⑥は、少ない人手で介護現場の幅広い業務を遂行するために打ち出されているといえる。〈専門的な技能をもつ人の仕事〉〈補助的な人の仕事〉〈機械に任せる仕事〉を切り分ける考え方に基づく。
こうした施策について、委員の多くは「介護助手」に注目し、その業務の範囲や処遇、名称などに関して意見を述べた。
介護助手とは、身体的介護以外の業務や介護専門職のサポートといった、比較的簡単な作業に従事する職員。シーツ交換やごみ捨て、備品の発注といった、こまごまとした用務をこなす。
また、訪問ヘルパー不足がとりわけ深刻とされるが、その理由について、非正規の女性が多く時給が上がっていないことが指摘された。
少ない人材を適切に活用するため、機械化・ICT化は必要だが、ケアの質を落としてはならないと強調する声も聞かれた。