地域包括ケアの深化・推進議論 介護保険部会

2022年 7月 26日

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)介護保険部会は7月25日、介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進について議論した。

 具体的な内容は①総合的な介護人材確保、②地域における生産性向上の推進体制、③施設や在宅におけるテクノロジーの活用の推進、④介護現場のタスクシェア・タスクシフティング、⑤経営の大規模化・協働化、⑥文書負担の軽減、⑦財務状況等の見える化、の7つ。会議の冒頭、事務局(厚労省の各課)がポイントを説明した。

 第8期介護保険事業計画(2021~23年度)に基づいて都道府県が推計した介護職員の必要数は、2023年度は233万人、40年度は280万人だ。19年度の職員数は211万人だったので、23年度までに22万人、40年度までに69万人増やす必要がある計算である。

 介護業界の人材不足は長く続いており、これまでも処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止、介護職の魅力向上、外国人材の受け入れといった様々な施策が実施されてきた。にもかかわらず、介護現場の人手不足感は解消していない。

 こうした背景から、①については、介護人材のあり方を「まんじゅう型」から「富士山型」へ転換して高い専門性を有する介護人材を確保することや、介護福祉士の資格取得をめぐる施策が行われている。

 ②~⑥は、少ない人手で介護現場の幅広い業務を遂行するために打ち出されているといえる。〈専門的な技能をもつ人の仕事〉〈補助的な人の仕事〉〈機械に任せる仕事〉を切り分ける考え方に基づく。

 こうした施策について、委員の多くは「介護助手」に注目し、その業務の範囲や処遇、名称などに関して意見を述べた。

 介護助手とは、身体的介護以外の業務や介護専門職のサポートといった、比較的簡単な作業に従事する職員。シーツ交換やごみ捨て、備品の発注といった、こまごまとした用務をこなす。

 また、訪問ヘルパー不足がとりわけ深刻とされるが、その理由について、非正規の女性が多く時給が上がっていないことが指摘された。

 少ない人材を適切に活用するため、機械化・ICT化は必要だが、ケアの質を落としてはならないと強調する声も聞かれた。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」🆕

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会🆕

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

 東京商工リサーチの調査によると、訪問介護事業者の2025年の倒産(負債1000万円以上)が11月末までに85件に達し、これまで最多だった23年67件、24年81件をすでに超え、3年連続で最多を更新した。  人手不足や24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、人件費やガソリン代、運営コストの上昇が要因と見込まれる。  25年の訪問介護事業者の倒産は11月末までに85件(前年81件)で、3年連続で年間最多を更新した。...

2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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