全世代型社会保障構築会議が「中間整理」公表

2022年 5月 19日

 内閣官房の全世代型社会保障構築会議は5月17日、第5回会合を開催し、中間整理を公表した。

 中間整理は①全世代型社会保障の構築に向けて、②男女が希望どおり働ける社会づくり・子育て支援、③勤労者皆保険の実現・女性就労の制約となっている制度の見直し、④家庭における介護の負担軽減、⑤「地域共生社会」づくり、⑥医療・介護・福祉サービス、の6項目を掲げている。

 ①は全世代型社会保障の構築を訴え、特に「子育て・若者世代への支援が喫緊の課題」と位置づけた。子育て支援を重視しながら、②では、前首相が設置した「全世代型社会保障検討会議」が柱に掲げた「待機児童解消」が姿を消している。

 また、①で〈社会保険をはじめとする共助〉、⑤では〈住民同士が助け合う「互助」〉と記述する。

 これは近年、社会保障(とりわけ地域包括ケアシステム)の分野で健康保険や介護保険・年金といった社会保険による制度を「共助」、住民同士の助け合いやボランティア活動を「互助」と呼んでいることに合致している。前首相が「住民同士の助け合い」を「共助」と称したことと対照的だ。

 ②では待機児童解消に触れていないが、もっと本質的な問題に踏み込む。「仕事と子育ての両立」を図るため、「仕事か子育てか」の二者択一を迫られる状況の是正が必要とし、育児休業などの両立支援策を誰もが利用できる環境整備、男性の育休取得促進、非正規労働者の育休取得、短時間労働者の保育利用、男性の家事・育児参加の推進を謳った。

 ③は働き方の多様化に対応し、働き方に中立な社会保障制度の構築が必要と指摘する。被用者保険の適用拡大を着実に実施し、フリーランスなどへの適用も含めて総合的に検討、と述べる。

 女性就労の制約となっている制度にも目を向け、「労使において改廃・縮小に向けた議論が進められるべき」と指摘している。

 ④では家族の介護力低下を前提に、サービスの基盤整備が必要と指摘する。在宅高齢者への地域全体の支援を強調し、認知症の人の増加をふまえて伴走型支援や成年後見などの議論も重視している。ヤングケアラーへの支援も盛り込んだ。

 ⑤では孤独・孤立や生活困窮を今後の大きな課題ととらえる。地域とつながり安心して生活できる「地域共生社会」づくりのため、ソーシャルワーカーによる相談支援や多機関連携による総合的な支援体制の整備が重要とする。

 地域の支援体制を構築する際には分野横断的な視点が重要とし、地域課題解決のため住民同士が助け合う「互助」の機能強化が望まれるとした。

 ④で介護の「各論」に焦点を当て、さらに⑥で「医療・介護・福祉」を論じる。これからの医療・介護提供体制は「地域完結型」と言い切り、関連する政策を着実に進めていくべきと述べる。

 コロナ禍では〈地域医療の機能が十分作動せず(略)課題に直面〉したと指摘し、機能分化と連携をいっそう重視した医療・介護提供体制の改革を進めるべきとした。データ・ICTの活用を含めた社会保障全体のDXにも言及している。

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2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会🆕

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

賛否分かれる論点に進展なし 介護保険部会

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 「持続可能性の確保」の内容は
 
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 ●金融所得・金融資産の反映の在り方
 
 など、注目度が高い項目が多く、これまでも議論が続いてきたが、今回は事務局から具体的にどうするか、施策の方向は示されていない。
 
 ケアマネジメントに関する給付の在り方については、他サービスと同様に幅広い利用者に負担を求めること(ケアマネジメント有料化)や、その判断にあたって利用者の所得状況を考慮することをどう考えるか、住宅型有料老人ホームの入居者に係るケアマネジメントについて利用者負担を求めるか、などの論点が示された。

特例介護の新類型を提案 介護保険部会

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 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

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