改正総合支援法見直しで報告書案 障害者部会

2022年 5月 18日

障害者部会02

5月16日開催の障害者部会

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)障害者部会は5月16日、障害者総合支援法改正法の施行後3年の見直しに関して、昨年12月の中間整理とその後の議論踏まえて事務局がまとめた最終報告案をめぐり、委員が多様な意見を述べた。

 報告書案は総論と各論から成り、総論では今回の基本的な考え方を「障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり」「社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応」「持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現」の3つの柱で整理した。

 このうち、障害者が希望する地域生活を実現する地域づくりでは、地域生活を実現・継続するための支援の充実や医療と福祉の連携など、社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応では、障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築、障害者の多様なニーズに応じた就労の促進の必要性を指摘した。

 各論は「障害者の居住支援」「障害者の相談支援等」「障害者の就労支援」「障害福祉サービス等の質の確保・向上」「制度の持続可能性の確保」「高齢の障害者に対する支援」「障害者虐待の防止」「地域生活支援事業」「意思疎通支援」「療育手帳の在り方」「医療と福祉の連携」の11項目に整理し、これまでの議論を基に方針案を示した。

 この中で、障害者の居住支援については、強度行動障害を持つ人への支援の検討、基幹相談支援センターやグループホームなどの活用による効果的な支援体制の整備の推進、グループホームにおける一人暮らし希望者への支援などの必要性を掲げた。

 また、相談支援ではピアサポーターの専門性を評価する対象サービスのあり方や相談支援事業の中立・公平性の確保に向けた実効性のある方策、基幹相談支援センターの設置促進・人材養成などを検討することを提案した。

 この日の会合で委員から最も多くの意見が出たのは、総論の基本的な考え方の中で使われている「当事者の目線をもって」の「目線をもって」という言葉に関する違和感で、「意見を尊重」「目線を尊重」「主体性」などへの言い換えを求めていた。

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 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

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