社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)障害者部会は4月25日、障害者福祉サービス事業者指定への市町村の関与や意思疎通におけるICTの活用、療育手帳のあり方などについて議論した。
市町村は障害福祉計画などで必要なサービス見込み量を定めることが求められている一方、現状では事業者の指定に関与できない仕組みとなっている。
このため、障害特性のニーズに応じた事業所の整備が行われていないことや、知らない間に新規事業者の指定が行われていたといったことが課題となっている。
そこで、都道府県が行う指定障害福祉サービス事業者の指定に対し、市町村が関与できる仕組みの導入を検討することが厚労省から提案された。
委員からは、基本的に賛同する意見が出た一方、総量規制となることで障害者が事業所を選択できなくなることへの懸念も示されていた。
意思疎通におけるICTの活用に関しては、委員から支援者と障害者の双方が活用を促進することが重要との認識が提示され、障害者にとって自立への強力なツールになるとして、補装具として位置付けることを求める意見もあった。
療育手帳は児童相談所あるいは知的障害者更生相談所で、知的障害があると判定された場合に交付される。これがあると、医療費の助成や公共交通機関の割引などのサービスを受けることができる。
しかし、現時点で法的な位置付けがなく、各自治体が自治事務として運用しているため、自治体ごとに検査方法などの判定方法や認定基準にばらつきがあることが課題となっている。このため、法定化に向けた検討を進めていくことの必要性が指摘されていた。
また、成人でも取得できるが、「療育」という名称では未成年に限られると誤解されるため、名称の変更を求める意見もあった。