就労アセスメントの制度化で議論 障害者部会

2022年 4月 11日

障害者部会3

 厚生労働省の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)障害者部会は4月8日、就労アセスメントの制度化など、障害者の就労支援についてリモートにより議論した=写真。

 就労アセスメントに関しては、12月に取りまとめた中間整理で制度化の検討の必要性が指摘されている。この日の会合では、厚労省から検討の方向性が示された。

 制度化におけるポイントは、障害者が就労を検討する際、本人の強みや課題、職場での合理的配慮に関する事項などを整理する機会を設けること。

 具体的には、就労アセスメントの手法を活用して整理した情報に関する書面の作成・提供することや、関係機関との意見交換を行うことで、障害者本人が一般就労や就労系障害福祉サービス事業所などを自ら選択することができるように、必要な支援を行うサービスを新たに創設するとした。

 新サービスでは、就労に関する本人のニーズを相談によって把握するとともに、実際の作業場面などを活用し就労に必要な能力を整理する。

 支援の質と中立性の確保を図り、その後の適切な就労につなげるため、地域の関係機関と支援を通じて把握した情報を共有し、必要に応じてケース会議を開催する。

 そのほか、支援の実施前後に地域における企業での雇用事例や、就労支援に関する情報提供、助言・指導などを行う。  また、市町村が就労系障害福祉サービスの支給要否決定を行う際の勘案事項の1つとして、就労アセスメントの手法を活用して整理した情報に関する書面を新たに位置付けることも検討する。

 年齢や障害者種別に関わりなく、就労系障害福祉サービスを利用する意向のある障害者が対象となる。その上で、まず新たに就労継続支援B型を利用する意向の人、次に新たに就労継続支援A型を利用する意向の人、標準利用期間を超えて就労移行支援を更新する意向の人というように、段階的に実施する。

 なお、支援を実施する期間は、利用する障害者のニーズや状況に応じて2週間から2カ月程度とする。サービスの実施主体は、就労支援について一定の経験・実績のある既存の就労系支援機関や事業所などとする。

 厚労相の提案に対し、委員からは制度化に賛同しつつ、専門人材が不足する中で新サービスを実施するのは困難であること、ケースマネジメントが明確でないこと、一般就労では職場での環境改善と合理的配慮の提供がアセスメントの前提となること、ケアマネジメントを強化する仕組みとする必要があることなど、さまざまな課題が挙げられていた。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

24年度の生活保護申請件数 5年連続で増加🆕

 厚生労働省の調査によると、2024年度の生活保護申請件数は25万9353件(速報値)で前年度に比べ3.2%増加したことが分かった。前年度を上回るのは5年連続で、高齢者世帯の増加が主な要因。...

24年の出生数70万人割れ 出生率は過去最低に🆕

 厚生労働省の人口動態調査によると、2024年の出生数は68万6061人で、前年の72万7288人から4万1227人減少した。統計を取り始めてから70万人を下回ったのは初めて。すべての都道府県で減少した。  女性が一生のうちに子どもを産む数の指標となる合計特殊出生率は1.15で前年の1.20からさらに低下した。出生数を母の年齢(5歳階級)別にみると、すべての階級で減少している。  都道府県別に最も合計特殊出生率が少ないのは東京都の0.96で、人口の東京への一極集中がその一因と考えられる。...

整備補助金の減額でサ高住の増加ペースが鈍化

住宅型有料の居室数が老健を上回る 高齢者住宅のデータベースとコンサルティングを提供するタムラプランニングアンドオペレーティングは、「高齢者住宅データ〔全国版〕」2025 年度上半期号を発行した。  それによると、4月時点で集計した全国の高齢者住宅・施設の13 種類のうち、ホーム数ではグループホームが1万4354カ所で最多となり、次いで住宅型有料老人ホーム(住宅方有料)の1万2900カ所、地域密着型を含む特別養護老人ホーム(特養)の1万474カ所の順となっている。  サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の登録数は...

ケアプランデータ連携普及率で都城市が1位に

 善光総合研究所(東京都港区)が採択された宮崎県の「ケアプランデータ連携システム活用促進モデル地域づくり支援事業」で、都城市の124事業所へのシステム導入が完了し、人口10万人以上の市町村におけるケアプランデータ連携システムの普及率が36.2%を達成した。  厚生労働省の介護現場の生産性向上とケアプランデータ連携システムに掲載されている地域事業者数と、WAMNETに掲載のシステム導入数を基に算出した普及率によれば、同市が全国1位だという。...

東温市が遠隔医療など活用した健康増進事業実施

 愛媛県東温市は2024年10月から中山間地域の住民や市内企業で働く従業員の健康増進、医療機関などの人手不足解消に向け、市内公共施設や公民館、事業所などで最新のデジタル機器・技術を活用した「とうおんスマートヘルスケア創出事業」を行っている。  愛媛大学や市内企業、医師会・歯科医師会などと連携し、市民の健康寿命の延伸や最新のデジタル機器の活用を促進する。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(6月9-15日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS