厚生労働省の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)障害者部会は4月8日、就労アセスメントの制度化など、障害者の就労支援についてリモートにより議論した=写真。
就労アセスメントに関しては、12月に取りまとめた中間整理で制度化の検討の必要性が指摘されている。この日の会合では、厚労省から検討の方向性が示された。
制度化におけるポイントは、障害者が就労を検討する際、本人の強みや課題、職場での合理的配慮に関する事項などを整理する機会を設けること。
具体的には、就労アセスメントの手法を活用して整理した情報に関する書面の作成・提供することや、関係機関との意見交換を行うことで、障害者本人が一般就労や就労系障害福祉サービス事業所などを自ら選択することができるように、必要な支援を行うサービスを新たに創設するとした。
新サービスでは、就労に関する本人のニーズを相談によって把握するとともに、実際の作業場面などを活用し就労に必要な能力を整理する。
支援の質と中立性の確保を図り、その後の適切な就労につなげるため、地域の関係機関と支援を通じて把握した情報を共有し、必要に応じてケース会議を開催する。
そのほか、支援の実施前後に地域における企業での雇用事例や、就労支援に関する情報提供、助言・指導などを行う。 また、市町村が就労系障害福祉サービスの支給要否決定を行う際の勘案事項の1つとして、就労アセスメントの手法を活用して整理した情報に関する書面を新たに位置付けることも検討する。
年齢や障害者種別に関わりなく、就労系障害福祉サービスを利用する意向のある障害者が対象となる。その上で、まず新たに就労継続支援B型を利用する意向の人、次に新たに就労継続支援A型を利用する意向の人、標準利用期間を超えて就労移行支援を更新する意向の人というように、段階的に実施する。
なお、支援を実施する期間は、利用する障害者のニーズや状況に応じて2週間から2カ月程度とする。サービスの実施主体は、就労支援について一定の経験・実績のある既存の就労系支援機関や事業所などとする。
厚労相の提案に対し、委員からは制度化に賛同しつつ、専門人材が不足する中で新サービスを実施するのは困難であること、ケースマネジメントが明確でないこと、一般就労では職場での環境改善と合理的配慮の提供がアセスメントの前提となること、ケアマネジメントを強化する仕組みとする必要があることなど、さまざまな課題が挙げられていた。