厚生労働省の「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」は3月31日、第2回会合を開催し、厚労省が提示した論点をめぐり構成員が意見を述べた。
この日示された論点は①現行制度における福祉用具貸与と特定福祉用具販売の考え方の再整理の必要性②利用者の状態を踏まえた対応③福祉用具の使用に関するモニタリング・メンテナンス④介護支援専門員による支援⑤経済的な負担‐の5項目。
貸与と販売に関しては、介護給付費削減のため現在貸与となっている手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえなどの福祉用具を販売に切り替えるという、財務省の財政制度等審議会の指摘を踏まえて論点となっている。
構成員からは貸与の維持を求める意見が多く出されたが、その根拠として、退院決定から退院までの日数が少なくなっている中で、購入では在宅で使う福祉用具の提供が間に合わないこと、購入になると不要になったものが廃棄されて行政の負担が増加すること、不要になったものがネットで販売されたりすることが挙げられた。
また、販売になると利用を手控え、その分ヘルパーなどに頼ったり、重度化したりすることでむしろ介護給付費が増加する恐れがあること、販売の場合は経年劣化や適切な保管がなされないなどで安全性が確保されなくなる可能性があることなどの意見もあった。
さらに、そもそも購入の方が安く済むという指摘については、メンテナンスを含めた費用が計上されていないことや、安くみえる項目だけがピックアップされていることを問題視する見方も示された。
モニタリング・メンテナンスに関しては、貸与の場合は使用状況の確認や使用方法の指導・修理などが指定基準で規定されているが、販売はこれらの規定がない。この点に関しては、モニタリング・メンテナンスをきちんとすることを条件に、貸与と販売の選択制を採用してもいいのではないかとの意見が複数の意見から出されていた。
第3回会合は4月21日に開催し、引き続き今回の論点に関して構成員が意見を述べる予定だ。