厚生労働省は3月29日、ウェブサイトに高校生向け社会保障教育指導者用マニュアル「人生 100 年時代の社会保障を考える」を掲載した。
高校生向け社会保障教育モデル授業の指導案・副教材・ワークシートなどを収録したもので、現役の高校の教員や高校生、大学生の意見を聞きながら開発した。4月上旬ごろに各高校に送付する予定。
マニュアルには、⾼校⽣が社会保障の意義や仕組みを理解し、必要な制度を活⽤できるようにするとともに、社会保障について当事者意識を持てるよう、学習の題材として主に「公的年⾦保険」か「公的医療保険」を扱うモデル授業(50分×2コマ)をそれぞれ2種類、計4つ収録した。
それぞれのモデル授業について、生徒への発問、基本的な制度の知識の説明方法などを盛り込んだ「指導案」、回答例入りの「ワークシート」、グラフやイラストを多く盛り込んだ「副教材」を収録。授業準備の際に基本的な制度の理解を深めたり、少し詳しい内容を生徒に説明したりしたい場合に活用できる「コラム」も9本掲載した。
このモデル授業を活用することで、社会保険の仕組みや社会保障と財政などを含む社会保障総論と、公的年金保険または公的医療保険という社会保障各論を題材に、課題解決的な学習の過程を展開しながら社会保障について教えることができる。
また、1年間の授業の流れや生徒の関心などに応じて一部を抜き出して活用したり、学習内容によっては家庭科など他教科で活用したりすることもできるようになっている。
今年の4月から高校の新学習指導要領の公民科の新科目「公共」の授業が、2022年度に入学する高校1年生から順にスタートする。新要領には、公共の授業で「少子高齢社会における社会保障の充実・安定化」を取り扱うことが記載されている。
そこで厚労省では、昨年3月から約1年間、社会保障教育モデル授業などに関する検討会を開催し、マニュアルの準備を進めていた。