厚生労働省の「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」は1月17日、「雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修の構築に関する作業部会」がまとめた基礎的研修の具体案を議論した。
同案では、当面受講が必須となるのは就労移行支援事所の就労支援員、就労定着支援事業の就労定着支援員、障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者と生活支援担当者で、3年以内に受講する。
ただし、障害者就業・生活支援センターの担当者については、就業支援が国の委託事業であることから、可能な限り就任した初年度に基礎的研修を受講できるように優先する。
今回必須となっていない就労継続支援A型・B型事業所の支援員らについても、今後対象としていく方針。
研修期間は事業所の負担を考慮するとともに、一定の実践経験を積んでから学ぶことで学習効果が期待されることから、カリキュラムを絞り込み、現行の就業支援基礎研修と同等の3日以内(900分程度)とした。
なお、この基礎的研修はゼロステップと位置づけ、障害本人と企業の双方に対して基本的な支援を開始できるレベルとする。このため、真の人材育成には、その後の実務研修や上位の階層研修が求められる。
受講者数は最大1万1800人と見積もられ、3年以内の受講を義務付けた場合は年間3900人が受講する機会を確保する必要がある。研修の実施主体は高齢・障害・求職者雇用支援機構となるが、量的・質的な観点から民間企業のうち厚労相指定の職場適応援助者養成研修実施機関を活用する。
研修の一部にオンデマンド方式・ライブ配信といったオンラインを使うことも可能とする。
この案に対し、構成員からは就労継続支援A型・B型事業所の支援員を今回必須としなかった理由を明記することや視覚障害者が受講する際のアクセシビリティ、報酬加算の検討、職員が適切に受講できるようにするための事業所への指導などを求める意見が出されていた。