厚生労働省は1月13日、2020年度の保険医療機関への指導・監査などの実施状況を公表した。新型コロナの影響で実施件数が大幅に少なかったものの、保険医療機関の指定取り消し件数は11件で、前年度と変わらなかった。
緊急事態宣言中は指導・監査を行わなかったため、個別指導は1797件で前年度比2918件減、新規個別指導は2915件で同2796件減、適時調査は5件で同3539件減、監査は46件で同9件減と、監査以外は大幅に減少した。
一方で、指定取り消し件数は前年度と変わらず、指定取り消し相当も8件で同2件減と前年度並みだった。
取り消し相当も含めて原因を見ると、架空請求・付増請求・振替請求・二重請求などの不正請求がほとんどを占めており、監査拒否による指定取り消しの件数が増加していることも分かった。
不正が発覚するきっかけとしては、保険者や医療機関従事者、医療費通知に基づく被保険者などからの通知が12件と半数を占めている。
保険医療機関などから返還を求めた額は約59億6000万円で、同49億1000万円減だった。
監査拒否の場合、返還額が確定できないため、同省では確定するまで精査を行うとしているが、状況によっては刑法の詐欺罪で告発する可能性もあるという。