中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は1月12日、厚労省が提示した2022年度診療報酬改定に関するこれまでの議論の整理案を審議した。
同案は昨年12月10日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会でまとめられた診療報酬改定の基本方針」に即して、大きく4項目に分類されている。
「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」では、新型コロナへの対応や入院医療の評価、かかりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の機能能評価、地域包括ケアシステム推進の取り組みなどが示された。
このうち、入院医療の評価に関して「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について、必要度の判定に係る評価項目を見直すとともに、入院料について評価の在り方を見直す」とされているが、見直し案をめぐって診療側と支払側の意見が対立しているため、継続して議論していくことになる。
次に「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」については、救急医療体制の確保や看護職の処遇改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進などが掲げられた。
看護職の処遇改善については9月まで補助金、10月から診療報酬で対応することになっている。そのスケジュールについて質問があり、厚労省からは全体的な諮問答申とは別に議論していく方針が示された。
3項目目の「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」では、医薬品の安定供給の確保、不妊治療についての評価、口腔疾患の重症化予防など歯科医療の推進、薬局のかかりつけ機能に応じた適切な評価などが記されている。
この項目に関連して、支払側委員の佐保昌一・日本労働組合総連合会総合政策推進局長と、間宮清・日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員から、診療明細書の無料発行について提案がなされていないことに遺憾の意が示された。
診療明細書の無料発行については最初に義務化の方針が打ち出されてから12年が経過している。ただ、診療側委員の城守国斗日本医師会常任理事からは、経過措置が設けられているので、もう少し時間をかけて議論すべきとの考えが述べられた。
最後の「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」に関しては、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進、費用対効果評価制度の活用、市場実勢価格を踏まえた適正な評価などが挙げられている。
このうち後発医薬品については、後発医薬品調剤体制加算と調剤割合が低い薬局に対する減算についての要件・評価の見直しなどが記されている。
この点に関して、診療側委員の有澤賢二・日本薬剤師会常務理事は、見直しの方向性について理解を示しつつ、後発医薬品の供給が不安定であるとして柔軟な対応を求めていた。