社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)障害者部会=写真=は12月13日、厚労省が提示した障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しに関する中間整理案を承認した。
同案は「基本的な考え方」「障害児支援」「引き続き検討する論点」で構成されている。
今回は見直しの基本的な考え方として「障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり」「社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応」「持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現」の3つの柱に整理した。
このうち、障害者が希望する地域生活を実現する地域づくりでは、地域生活を実現・継続するための支援の充実、地域共生社会の実現、医療と福祉の連携の推進、精神障害者の地域生活に向けた包括的な支援の必要性を示した。
障害児支援については、通所支援に関する検討の方向性として、児童発達支援センターの役割・機能の明確化、児童発達支援事業や放課後等デイサービスのあり方、インクルージョンの推進などを挙げた。
また、引き続き検討する論点としては、障害者の居住支援や相談支援、就労支援など12項目を提示している。
この日の会合では、2019年地方分権提案による精神障害者保健福祉手帳の更新時期を2年から4年に延長する案について、厚労省から示された現行のまま据え置く案も承認した。
地方分権提案では、手帳所持者の増加に伴い、市町村窓口での事務手続きや審査・判定を行う精神保健福祉センターの業務量が増えていることから、業務負担軽減の観点から有効期限の延長を求めていた。
しかし、精神疾患は病状が変化する可能性があり、4年間ごとの更新では長すぎるのではといった意見が日本精神神経学会からあった。
また、厚労省が日本精神神経科診療所協会に依頼して、全国の330人を対象に行った調査で、約半数の人が1年間に生活能力の状態に何らかの変化があることが分かった。
有効期限を延長すると、状態の変化に応じた障害等級の見直しを図る機会を失わせることになることから、現行の期間を据え置くことにした。
なお、地方自治体の事務負担の軽減については、デジタル庁を中心に自治体が使用する事務システムの標準化に関する検討を進めており、こうした取り組みなどを通じて図っていくとしている。