短時間労働の特例延長を承認 障害者雇用分科会

2021年 11月 12日

 厚生労働省は11月10日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)障害者雇用分科会=写真=に、2022年度末までとしている精神障害者の短時間労働者に関する特例措置を延長する方針を示し、承認された。

障害者雇用分科会02

 併せて、新規雇い入れか手帳取得から3年間という特例措置期間の要件を外すことについても賛同を得た。

 事業者に障害者の雇用を義務付けている障害者雇用率制度では、精神障害者の雇用率を算定する際、1年以上継続して雇用され、週の労働時間が30時間以上の場合は1カウント、20~30時間の短時間労働では0.5カウントとしている。

 しかし、精神障害者の職場定着率は週20~30時間勤務が多く、職場定着を進める観点から、短時間労働者を1カウントとする特例措置が設けられている。

 この日、厚労省が示したアンケート調査では、精神障害者の継続雇用の課題として、身体障害者・知的障害者と比べ、不調時の対応に関するものが多く見られた。

 また、短時間労働者へのフルタイム移行に関する質問に対しては、移行を希望する人の割合が22.6%なのに対し、移行は困難とする人が33.3%、短時間雇用の継続を望む人が25.1%となり、移行を希望しない理由として、「今の働き方が自分に合っている」「体力が続かない」「体調や病状の悪化が心配」などの回答が多かった。

 こうしたことから、特例措置の延長と3年間の要件を外すことが提案された。これに対し、特例を延長し続けることへの懸念を示す声はあったものの、提案に異論を唱える委員はいなかった。

 なお、他の障害と異なり精神障害には「重度」の区分がないため、特例措置は重度に替わるものとなっている。重度に関して、この日の会合では調査・研究などにより引き続き検討していくこと、特例の期間は重度の検討について整理された際に改めて検討する方針も示された。

 委員からは重度を判定する仕組みや基準作り、明確化していくことなどに取り組んでいくことを求める意見が出されていた。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

24年の介護事業者の倒産過去最多 半数が訪問介護🆕

 東京商工リサーチの調査によると、2024年の介護事業者の倒産が過去最多の172件(前年比40.9%増)に達したことがわかった。これまで最多だった2022年の143件を29件上回った。
 
 ヘルパー不足や集合住宅型との競合、基本報酬のマイナス改定などが影響した訪問介護が過去最多の81件、多様化したニーズに対応できなかったデイサービスも過去2番目の56件、有料老人ホームも過去最多の18件といずれも増加している。
 
 介護事業者の倒産は16年に年間100件を超えた。コロナ禍で利用控えなどにより増加し、コロナ関連支援で21年は一時的に減少したが…

23年度の介護施設の高齢者虐待が過去最多 厚労省

 厚生労働省の調査によると、2023年度の介護施設の職員らによる高齢者への虐待は1123件(前年度比31.2%増)で3年連続増加し、過去最多となった。同省は12月7日、高齢者施設などの関係団体に対し、虐待防止策を徹底するよう要請した。  虐待の種別(複数回答、以下同)では「身体的虐待」(51.3%)が最も多く、「心理的虐待」(24.3%)、「介護等放棄」(22.3%)、「経済的虐待」(18.2%)と続き、性的虐待も2.7%あった。...

今後の検討事項を提示 第116回介護保険部会

 12月23日、第116回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「主な検討事項(案)について」「介護保険をめぐる状況について」などが議論された。  同部会が2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」をふまえ、今後の検討テーマとして  ①地域包括ケアシステムの推進  ②認知症施策の推進・地域共生社会の実現  ③介護予防・健康づくりの推進  ④保険者機能の強化  ⑤持続可能な制度の構築、介護人材確保・職場環境改善 の5つが提案され、了承された。委員の意見を以下に紹介する。...

包括ケア型の高齢者住宅・施設などが76万戸不足

 タムラプランニングアンドオペレーティングは「自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ2024年度版」を発行した。  47都道府県と政令指定都市(20市)・中核市(62市)・首都圏(109市)関西圏(73市)の全市、東京23区がとりまとめた介護保険事業支援計画と介護保険事業計画から、要介護者向け高齢者住宅・施設など(包括ケア居室)を供給量として把握し、この地域に住む要介護3以上の認定者数を需要量として、供給と需要の差に着目して推計した。...

情報二次利用など議論 第115回介護保険部会

 12月10日、第115回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について」「要介護認定の認定審査期間について」「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会の中間整理について」などが議論された。
 
 現在、医療DXが推進され、「全国医療情報プラットフォーム」の構築や電子カルテ導入、電子カルテ情報の標準化などが掲げられている。得られた情報については「医療介護の公的データベースの利活用を促進するとともに、研究者、企業等が質の高いデータを安全かつ効率的に利活用できる基盤を構築する」(骨太の方針2024)など、実用化に向けた議論が各所で行われている。
 
 医療・介護関係のデータベース、現行ではNDB・介護DB・DPCDB・障害福祉DB・予防接種DB…ジャンル別にと独立している。これらをクラウド上の…

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(1月6-12日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS