厚生労働省は11月5日、地域生活支援拠点の整備を進めるため、法令上の位置付けの明確化を検討することなどを社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)障害者部会=写真=に提示した。
地域生活支援拠点は緊急時の迅速・確実な相談支援の実施・短期入所などの活用、体験の機会の提供を通じて、施設や親元からグループホーム(GH)や一人暮らしなどへの移行を容易にする支援を提供するもの。
GHや障害者支援などに付加した「多機能拠点整備型」と、地域の複数の機関が分担して機能を担う「面的整備型」があり、「多機能拠点整備型」+「面的整備型」という形もあり得る。
今年4月時点で全国1741市町村のうち、半数強の922市町村で整備されており、今年度末までに整備する182市町村、来年度に整備予定の120市町村を加えると、約7割で整備が行われることになる。
ただ、小規模の自治体では単独で整備するのが難しいため、整備済みの922市町村のうち、501市町村は複数の自治体で圏域整備を行っており、その数は118圏域となっている。
また、多機能拠点整備型は38市町村、面的整備型が810市町村、多機能拠点整備型+面的整備型は74市町村となっている。
この日の会合では、法令上の位置付けの明確化のほか、整備を努力義務化すること、地域生活支援拠点が備えるべき具体的な機能・役割について、地域の関係機関との関係を整理すること、報酬を含め必要な検討を行うことなどが提案された。
委員からは方向性を賛同する考えが示される一方、都道府県との連携の重要性や都道府県と市町村の役割の明確化、圏域の範囲などについて多様な意見が述べられた。
また、この日の会合では厚労省から、一定期間の中で本人が希望する一人暮らしなどの地域生活に向けた支援を行うことを目的とする、新たなGHのサービス類型の創設が提案された。
この提案については大半の委員が賛同しつつも、地域定着支援や自立支援の整備が十分でないことや、GHを終の棲家とする選択肢がなくなってしまうことへの懸念、地域によっては整備が困難であることから慎重に検討することを求める意見のほか、従来の類型の中で対応すべきといった考えも示されていた。