法令上の位置付け明確化検討 地域生活支援拠点

2021年 11月 8日

 厚生労働省は11月5日、地域生活支援拠点の整備を進めるため、法令上の位置付けの明確化を検討することなどを社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)障害者部会=写真=に提示した。

障害者部会04

 地域生活支援拠点は緊急時の迅速・確実な相談支援の実施・短期入所などの活用、体験の機会の提供を通じて、施設や親元からグループホーム(GH)や一人暮らしなどへの移行を容易にする支援を提供するもの。

 GHや障害者支援などに付加した「多機能拠点整備型」と、地域の複数の機関が分担して機能を担う「面的整備型」があり、「多機能拠点整備型」+「面的整備型」という形もあり得る。

 今年4月時点で全国1741市町村のうち、半数強の922市町村で整備されており、今年度末までに整備する182市町村、来年度に整備予定の120市町村を加えると、約7割で整備が行われることになる。

 ただ、小規模の自治体では単独で整備するのが難しいため、整備済みの922市町村のうち、501市町村は複数の自治体で圏域整備を行っており、その数は118圏域となっている。

 また、多機能拠点整備型は38市町村、面的整備型が810市町村、多機能拠点整備型+面的整備型は74市町村となっている。

 この日の会合では、法令上の位置付けの明確化のほか、整備を努力義務化すること、地域生活支援拠点が備えるべき具体的な機能・役割について、地域の関係機関との関係を整理すること、報酬を含め必要な検討を行うことなどが提案された。

 委員からは方向性を賛同する考えが示される一方、都道府県との連携の重要性や都道府県と市町村の役割の明確化、圏域の範囲などについて多様な意見が述べられた。

 また、この日の会合では厚労省から、一定期間の中で本人が希望する一人暮らしなどの地域生活に向けた支援を行うことを目的とする、新たなGHのサービス類型の創設が提案された。

 この提案については大半の委員が賛同しつつも、地域定着支援や自立支援の整備が十分でないことや、GHを終の棲家とする選択肢がなくなってしまうことへの懸念、地域によっては整備が困難であることから慎重に検討することを求める意見のほか、従来の類型の中で対応すべきといった考えも示されていた。

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有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会🆕

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

ケアマネ資格要件など議論 介護保険部会🆕

 第127回社会保障審議会介護保険部会が10月27日に開かれ、「介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営改善支援等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」「持続可能性の確保」などが議論された。
 
 「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」では、ケアマネジャーの資格取得要件や業務の在り方について事務局から提案された。
 
 資格要件については、参入促進のため「受験対象である国家資格の範囲拡充」を提案。具体的には診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師が挙げられる。これら5資格の業務などは以下の通り。

中山間地域の訪問介護への定額導入など提案

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
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 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

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 第125回社会保障審議会介護保険部会が9月29日に開かれ、「地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保」などが議論された。
 
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 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
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 具体的な内容は、これまでの同部会での議論を踏まえた以下の6項目で、②~⑥は中山間・減少人口地域でのサービス提供体制の維持・確保についての提案である。
 
 ①地域の類型の考え方
 ②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
 ③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
 ④介護サービスを事業として実施する仕組み
 ⑤介護事業者の連携強化
 ⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用
 
 ①地域の類型の考え方は、全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3つに分類し、状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要、とする。「中山間・人口減少地域」についてはサービス提供の維持・確保を前提として新たな柔軟化のための枠組みを設けることを提案する。

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