中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は10月20日、かかりつけ医を中心とする外来医療をテーマに会合を開催したが、まずはかかりつけ医の機能・役割を明確化する必要があると支払側委員が指摘したのに対し、診療側委員から中医協は制度を話し合う場ではないとの考え方が示され、厚労省が提示した論点とは異なる部分で議論が展開した。
議論のきっかけは、2人の支払側委員から、新型コロナのワクチン接種を受けようと、長年通っていた医療機関に相談したところ、かかりつけ医ではないとして断られた患者がいたことから、かかりつけ医の機能・役割を明確化し、制度化も必要ではないかとの意見が出されたことによる。他の支払側委員も同様の主張を行った。
その背景にあるのは、2013年の日本医師会・四病院団体協議会合同提言により、かかりつけ医は「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義されているものの、診療報酬では対象となる患者が限られるからだ。
例えば、地域包括診療料・加算を算定するには、成人の場合、患者に高血圧症・糖尿病・脂質異常症・認知症の4疾病のうち2つ以上の疾患があることが条件となる。
支払側委員の意見に対し、診療側委員からは、制度については医政局の検討会で議論すべきとの見解が示されたが、支払側委員や公益委員から医政局との連携も含め、中医協でも議論する必要があるとの考えが述べられ結論は出なかった。