■地域精神保健の主体を市町村とした点を評価
――ご自身も議論に参加した検討会の報告書をどう見ますか。
精神障害者の支援に関しては、これまで何度も報告書が出されました。その中で国民の「精神保健」も取り上げてきましたが、基本的には「精神科医療」が中心でした。それに対し、今回は地域精神保健の実施主体を市町村とする方向性を示しており、大きなことだと思います。
精神疾患が5疾病の1つであることを真正面から捉え、国民のメンタルヘルスの重要性を指摘し、これを市町村を中心とする「精神保健」として位置付けて……
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インタビュー 小阪和誠さん(日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構理事、一般社団法人ソラティオ・ピアサポート専門員)
■ピアサポート体制加算として制度化
――ピアサポート制度の現状は。
今年度の障害福祉サービス改定で、ピアサポート体制加算が新設されました。これまでは公的な評価がなかったため、ぼくらは国の制度として位置付けることを要望するとともに、2011年から精神障害者ピアサポートの専門員を養成するための……
近年の精神保健福祉政策は、誰もが住みなれた地域で暮らし続けることができるよう、アウトリーチの手法を使って積極的に働きかける個別支援に力点が置かれているという。埼玉県の川口市保健所では、2年前からアウトリーチ事業を活用して……
精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(「にも包括」)を実現するには、精神保健福祉センターや保健所、市町村などの連携を強化して重層的な支援体制を構築していく必要がある。長年にわたり関連する諸機関と緊密な連携を図ってきた埼玉県立精神保健福祉センターは、そうした関係を生かし、「にも包括」の実現に向けた取り組みを進めている。
■充実した人員で夜間・休日の緊急相談に対応
精神保健福祉センターは、精神保健福祉に関する技術的中核機関として、精神保健福祉法に基づき各都道府県と指定都市に設けられている。主な業務は、本庁の企画立案の支援や保健所の技術指導・技術援助、すなわち……
インタビュー 中島豊爾さん(岡山県精神科医療センター理事長・名誉院長、日本公的病院精神科協会会長)
■精神科救急医療に対応した「岡山モデル」
――「岡山モデル」とは。
自分たちで「岡山モデル」と言っているわけではないけれど、ポイントは2つあって、1つは総合病院との緊密な連携が図れているということ。岡山市内を2つに分け、当センターが連携している南部の総合病院から緊急電話があった場合、必要なら訪問するし、そうでなければ来ていただいて入院するか否かを判断する、というものです。
つまり、総合病院の一部として精神科が機能している。本来は総合病院の中に精神科があるべきだと思いますけれど……
インタビュー 櫻木章司さん(桜木病院理事長、日本精神科病院協会常務理事)
■民間病院中心への批判は疑問
――日本の精神科医療の提供体制をどう見ますか。
私自身は、精神科医療の提供体制には合格点を与えてよいと考えています。
確かに、わが国の精神科医療提供体制が民間精神科病院中心ということに関しては、毀誉褒貶相半ばというより、むしろ否定的な意味合いで捉えられることが多いようです。
しかし、民間病院主体である日本精神科病院協会の会員病院は、全国各地域にほぼもれなくありますし、各都道府県に精神科救急医療システムがありますが、これも当協会の会員病院が数多く参画しています。
こうした面で、精神科を受診したいと思う人がいた場合……
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