■政治的決着を経て全世代型社会保障検討会議へ
前回の拙稿(令和の社会保障3「後期高齢者の窓口負担2割への引上げ問題」)は締め切りの関係で12月8日までの段階での記述となってしまった。年が明けて早くも2月に入ったが前回中途半端に終わってしまったので、その後の決着について記しておきたい。
前回の執筆段階では、厚生労働省が示した5つの「機械的選択肢」(下表)のうち、菅総理は④を選択した。自民党内から異論も出たようだが……

■政治的決着を経て全世代型社会保障検討会議へ
前回の拙稿(令和の社会保障3「後期高齢者の窓口負担2割への引上げ問題」)は締め切りの関係で12月8日までの段階での記述となってしまった。年が明けて早くも2月に入ったが前回中途半端に終わってしまったので、その後の決着について記しておきたい。
前回の執筆段階では、厚生労働省が示した5つの「機械的選択肢」(下表)のうち、菅総理は④を選択した。自民党内から異論も出たようだが……
■訪問診療も訪問看護も断る患者
84歳のAさんは83歳の妻と暮らしている。Aさんは足が不自由で車いすを使い、妻は軽度認知症だ。息子と娘はそれぞれに家庭があり、親とは同居していない。Aさんに訪問診療することになったが、2回訪問した後、家族から連絡が入った。もう訪問診療は必要ありません、何かあったら外来で診ていただきます、と言う。それで訪問は中止した。
しばらくして、Aさんが娘に付き添われて外来を受診した。「お名前は」と尋ねてもAさんは答えず、一言も発しない。発熱したと娘が言うので検査すると、右肺の肺炎であった。さらに口腔内を見せてもらうと、かなり汚れている。唾液が詰まって、なるほど、これでは……
今回は、介護保険事業計画の基本指針でも重点が置かれた「地域づくり戦略」について、特に住民主体の通いの場に焦点を当てて、これまでの取り組みの評価と今後の行方について考えてみたいと思います。
■通いの場の成功と抜け落ちた「生活支援」
総合事業の成果の1つは、「通いの場」、とりわけ体操教室の全国的な広がりだと思います。高知市の「いきいき百歳体操」等に端を発した住民主体の通いの場は、着実に全国に広がり、全国で10万か所をこえています。取り組みを支援した各地域の生活支援コーディネーターの貢献も、特筆すべきものです。
こうした成功の裏で、見落とされがちな点もあります。生活支援の視点です。誰もが……
■将来の介護労働・医療福祉需要
将来の介護労働者の規模は、2018年度334万人を基準にすると、2025年では1.2倍、2040年では1.5倍も必要と見込まれている。この間、人口の減少を反映して就業者全体が減るため、介護労働者を就業者数の割合で見ると、2018年度5.1%から、2025年度6.4%、2040年度8.9%と高まっていく。医療福祉全体の就業者では、2018年度12.5%、2025年度14.7%、2040年度18.8%となる。
今、懸念されることの一つは、医療福祉にそれほどのマンパワーを吸収して、国民経済は大丈夫なのか?
かつて、財ではなくサービスが増えていって国民経済は大丈夫なのか? と問いを立てていった人たちが……
■話題其の壱
ドイツの哲学者、カール・ヤスパースはBC5世紀前後を「枢軸の時代」と呼んでいた。この時代に、仏教、ジャイナ教、儒教を始めとした諸子百家、パレスティナの預言者、ギリシャ哲学など、今にいたる人間の思想の源ができあがっている。この背景には、鉄器が普及し、そこに地球温暖化が起こって、農業生産力が飛躍的に高まったことがあった。いわゆる農業生産性の増強の中、生産活動に就く必要のない有閑階級の誕生を社会が許したのである。
■話題其の弐
経済学の世界では、18世紀半ばの重農主義で知られるフランソワ・ケネーは、農業のみが生産的活動であり、他は農業での生産物を消費するだけの非生産的活動とみなしていた。ケネーの『経済表』よりも18年遅く『国富論』を出したアダム・スミスは、ケネーに敬意を払いながらもケネーの論を発展させて、生産活動に工業生産品などの財の生産も加えた。
しかしスミスが視野に入れた生産活動はそこまでであり、農産物や財を生産する人たちまでは生産的労働とみなす一方、それを消費するだけの人たちを……
ある日知人から「近々、北杜市で定期巡回サービスの公募があるそうよ」という情報を得ました。2016年11月、法人を立ち上げてグループホームの建設を進めていた時期です。職員は1人も採用しておらず、私と理事の中嶋の2人で諸準備をしていましたが、無給の状態でした。グループホームは翌年4月にオープン予定で、その職員などの採用を1月に行う予定でした。
■定期巡回サービスに特別な思い
私は東京での40年間の活動の中で、今でいう「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」事業の原型のような活動を実施してきた経験があります。
それは、当時所属していた医療法人健和会が……
新型コロナウイルスのワクチンを、国民に無料で接種することなどを盛り込んだ改正予防接種法が国会を通った数日後、厚生労働省の幹部はこう心境を吐露した。
「ほっと一息、という感じはまったくない。過去に例のない巨大プロジェクトに向けて、これからが本番。気を引きしめてやっていかねばならない」■複雑なオペレーション
緊張感に満ちているのは、新型コロナウイルスのワクチン接種が、かつてない複雑なオペレーションになりそうだからだ。
登場するワクチンは、日本どころか世界中でほとんど経験したことのないタイプ。それを……
■認定審査の2次判定に参加
薬局薬剤師の業務の1つに、地域の介護認定審査会に委員として参画し、介護認定審査会で介護度の判定にかかわるというものがあります。
要介護認定の流れは以下の通りです。
①市町村の認定調査員(指定居宅介護支援事業者等に委託可能)による心身の状況調査(認定調査)及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定(1次判定)を行い、その後
②保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会により、1次判定結果や主治医意見書等に基づき審査判定(2次判定)を行う。
私たちが担当するのは2次判定です。私の地域では委員5人で……
■クリニックの外来患者さんたち
Aさんは91歳女性。息子と同居している。息子はAさんをよく介護しているけれど、一方で支配的に振る舞う。Aさんは足腰が弱り、立つのがやっとの状態で、歩けなくなってきた。息子はそんなAさんに対して、大声で「立ちなさい!」「だめ!」などと命令口調で指示する。でもAさんは息子を信頼し、息子の将来を案じている。
Bさんは90歳女性で、認知症が始まっている。現役時代は大学教授で、学長も務めた。息子の妻が外来に付き添ってくるが、この人が気の強い人で、私がBさんと話していると、ほとんど必ず横から口をはさむ。本人が何か訴えても、それは違うでしょう、と否定してかかる。すると……
「病院という空間では、見えないです」。
がん患者さんの在宅療養移行支援過程を、病院・在宅で働く看護職と一緒に振り返り事例検討会をしたあと、1人の看護部長がつぶやきました。「対話の時間が持てないというのは言い訳になるけど、『病気を治して欲しい』という治癒を諦められない患者・家族の姿しか、見えないんです」。
病院医療者にとっては、在宅医療者からのフィードバックがなければ、退院後の様子が見えないんですよね。■「最期まで母はおかあちゃん」
1人暮らしでも「家がええなぁ」と、在宅療養を選択した患者さんは、夫や子供たちと過ごした思い出が詰まった我が家で、コロ(犬)が見守る中、息を引き取りました。
なんと、娘さんが、お母さんの在宅療養の様子を地元の新聞に投稿されていたのです。娘さんは……
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