第18回 少子化対策に透ける思惑、欠ける視点
少子化対策がホットだ。合計特出生率は2021年には1.30と6年連続で低下した。2022年の出生数は80万人を割り込んだ。すわ一大事というわけだ。
何を今ごろ言っているのかと思う。少子化の傾向は長らく変わっていない。対策に取り掛かるのが30年くらい遅いのである。
しかも、政策のピントがずれている。対策の1丁目1番地は現金給付なのである。政策立案をする高齢の男性政治家に課題への共感がないからではないか、という指摘がある。
子育ての孤独も、仕事と子育てを両立する苦しさも、貧困も、自分では経験したことがない人たちだからだ。
■伝統的家族観への回帰を期待?
さて、児童手当の拡充である。現金を配りたがるのは、選挙を控えた政治家の常ではある。
加えて、今回は伝統的家族観への郷愁も垣間見える。短時間労働や育児休業に現金給付を上乗せして…