AIで認知機能低下患者の顔を識別 東大など

2021年 1月 26日

 東京大学と東京都健康長寿医療センター、日本医療研究開発機構(AMED)は1月26日、人工知能(AI)で認知機能の低下した患者と健常者の顔写真を見分けることができたと発表した。

 顔だけで認知症をスクリーニングできることを示したのは世界で初めて。顔による認知症の早期発見は、非侵襲的で時間もかからない安価なスクリーニングとして期待される。

 認知症診断のための検査はすでにいくつかあるが、アミロイドPETによる検査費用は非常に高額、脳脊髄液の採取は侵襲的のように、いずれも課題がある。

 一方、顔で判断する見た目年齢は余命・動脈硬化・骨粗鬆症の指標となることが知られており、これまでに東大医学部付属病院老年病科の秋下雅弘教授、亀山祐美助教らのグループは、見た目年齢が暦年齢よりも認知機能と強い相関を示すことを報告している。

 そこで、同グループは東京都健康長寿医療センター放射線診断科の亀山征史医長らと共同で、AIを使って顔の情報から認知機能低下を見つけ出すことができるかどうかを調べた。

 東大病院老年病科を受診して物忘れを訴える患者と、東大高齢社会総合研究機構が実施している大規模高齢者コホート調査(柏スタディ)の参加者の中から、同意を得た人の正面の表情のない顔写真を使い、認知機能低下を示す群(121人)と正常群(117人)の弁別ができるかどうかを、AIワークステーションで解析した。

 何種類か試した中で最もよい成績を示したAIモデルは、正答率92.56%と高い弁別能を示すことができた。さらに、年齢の影響を少なくするため、年齢で2つのグループに分けて解析したところ、どちらの群でも良好な成績を収めることができたことから、年齢の影響は少ないと考えられるという。

 また、AIワークステーションによる判断は、顔のどの部分で行われているのか分かりづらく、ブラックボックスの側面があるため、顔を上下で分けて解析したところ、どちらも良い成績だった。ただ、顔の下半分のほうが少し良い成績を示した。

 今回の研究は人数も限られているため、そのまますぐに応用できるわけではないが、より多くの顔写真を集め、AIに学習させることができれば、将来的にAIを使って顔で認知機能低下をスクリーニングできるようになる可能性がある。

 同グループでは実用化を目指し、今回の成果から得られた方法について、今後も研究を深めていく予定だ。なおこの研究は、AMED認知症研究開発事業の支援により行われた。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

介護DXサービス「OwlCare」が補助金対象に🆕

 EMC Healthcareが開発・販売する介護DXサービス「OwlCare」が、「介護テクノロジー(見守り・コミュニケーション)」に選定された。  すでにテクノエイド協会の福祉用具情報システム(TAIS)に正式登録され、TAISコードを取得しているが、今回の選定により「介護テクノロジー導入支援事業」の補助金活用基準の一つを満たすことになった。...

「口腔ケアウェットシート」発売 アスクル🆕

 アスクルは医療・介護現場における口腔ケアの課題を解決するオリジナルの新商品「口腔ケアウェットシート」(80枚入り)を、事業所向け通販サービス「ASKUL」「ソロエルアリーナ」、一般消費者向け通販サービス「LOHACO」で発売した。
 
 医療・介護用品分野で実績を持つオオサキメディカルと共同開発した。柔らかく、保湿力を保ちながら、汚れをしっかり絡め取るヘリンボーン織の不織布を採用。デリケートな口の中も傷つけにくく、効率的なケアをサポートする。
 
 シートサイズは150mm×200mm。指に巻いて使用しやすい大きさと適度な厚みを確保し、口腔内をやさしく拭き取れる。

高齢者見守り技術の有効性を英国の自治体が実証🆕

 エネルギーAI企業インフォメティス連結子会社のインフォメティス・ヨーロッパは、ロンドンの自治体で実施された高齢者向け見守り実証で、同社のAI電力データ解析技術が生活行動の変化検知に有効であるとの評価を受けたことを発表した。  電力データから生活行動を解析する同社のNILM技術が、プライバシーを損なうことなく高齢者の生活変化を把握できる点が評価された。  実証は英国の自治体であるレッドブリッジ・ロンドン自治区の3つの高齢者介護施設で12カ月間実施され、結果が公式ページで公表された。...

在宅介護者を支援する「ヨルニモ」アプリ版開始

 エーザイグループのテオリア・テクノロジーズは、在宅で家族の介護を行う人を支援する対話型AIパートナー「ヨルニモ」アプリ版の提供を開始した。アプリ版公開を記念し、期間限定ですべての機能を無料で体験できるキャンペーンを今年夏まで実施する。  同社は昨年10月に「ヨルニモ」LINE版をリリースした。その利用ログの分析から、介護者が日中の仕事を終えた夜9時以降の深夜帯に利用が集中する傾向があることが明らかとなった。...

「カイポケ訪問看護」の導入事業所が7000件突破

 エス・エム・エスは訪問看護経営支援サービス「カイポケ訪問看護」の累計導入事業所数が全国の訪問看護ステーションの3分の1以上にあたる7000件を突破したと発表した。  カイポケ訪問看護は電子カルテやレセプト機能に加え、会計、経営管理、勤怠管理、給与計算などICTを活用した多様な支援を行っている。  月額定額制のシンプルな料金体系により、サービスの利用者が増えても、システム利用に関する訪看ステーションのコスト負担が増えないのも特長で、これら機能の網羅性や料金のわかりやすさも導入件数増加の要因と同社では話している。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(4月20-26日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS