新田國夫
新田クリニック院長、日本在宅ケアアライアンス議長
■認知症の人をホテルに隔離できるか
超高齢者が入院を余儀なくされる。それも、治療というよりは感染隔離のための入院である。感染隔離のための入院は、超高齢者にとってどうなのか。そこがまだ見えないので、市民も不安なのではないかと思う。
2類相当の指定感染症という規定は1年後に見直されるという説もある。だが、そんなに簡単に変わるだろうか。我々にできることは、現状のそういう枠組みのなかで、とにかく在宅療養の高齢者を感染から守ること。幸いというべきか、新田クリニックのある国立市では……
第1回 在宅ケア従事者への「新型コロナ対処方針」(下)
■医療・介護従事者はチームの一員として行動を
議論を重ね、アライアンスの「対処方針」では、諸外国の好事例も参考に、日本の事情を汲み、以下のように独自の方針を掲げている(要約)。
・在宅医は地域の医師会や行政などと連携し、保健所に相談の上、必要に応じPCR検査を行う。
・在宅医・訪問看護師は、関係する在宅ケアの介護職員に対して感染防護の知識・技術を積極的に指導・助言する。
・在宅ケアに携わるすべての医療・介護従事者は、新型コロナの最新情報を常にフォローして感染予防に生かし、在宅療養者と家族に伝える。
・在宅ケアに携わるすべての医療・介護従事者は……
第1回 在宅ケア従事者への「新型コロナ対処方針」(上)
■在宅で感染者が出ることを想定
日本在宅ケアアライアンスは、6月22日、「新型コロナウイルス感染症の中で在宅ケアを守るために《対処方針》(第1版)」を公表した(https://www.jhhca.jp/covid19/200622policy/)。アライアンス内の災害対策委員会「コロナ感染症対策班」が原案をまとめ、加盟団体などの意見も取り入れながら策定した。
これに先立つ4月22日には、「在宅ケアにおける新型コロナウイルス感染対策について(行動方針)」を公表している(https://www.jhhca.jp/covid19/200422action-policy/)。「行動方針」は主に濃厚接触など感染の疑いがある場合を想定して、在宅ケアに携わるサービス提供者が守るべき基本的事項をとりまとめた。6月の「対処方針」はこれより踏み込んで、在宅で感染者が出ることも想定し、「行動方針」を実践するために取り組むべき事項を、より詳細に提示している。
■封じ込めが評価されるドイツの手法とは
「対処方針」の策定に際して、東京都の状況を考慮した。東京では在宅療養者について、PCR検査のルールも感染防御資材の配布も感染した場合の対処も、十分に整理・検討されているとは言い難い。そこで、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに欧州で最も成功したとされるドイツの……
在宅の高齢患者が陽性となったら入院しなければならないのか(上)
新田國夫
新田クリニック院長、日本在宅ケアアライアンス議長
■訪問でウイルスを持ち込んではならない
新型コロナウイルス感染症は在宅医療に何をもたらすのだろうか。厚生労働省の報道発表資料によると、日本国内で最初の患者が確認されたのは今年1月14日だ。しばらくして2月上旬、横浜港に停泊していたクルーズ船内での感染が明らかになり、船内の感染者が徐々に増えていった。正直なところ、このころは他人事のような感覚で見ていた。
在宅療養の患者は85歳以上の方やがん、難病の方が多く、発熱は珍しいことではない。在宅患者が発熱すれば、我々医師は、原因を探るために採血して白血球、CRP等の数値を調べる。その数値が高ければ、診察での所見と併せて感染症と診断をつける。外来や入院の患者と同じ過程である。
2月ごろまでは……
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