南相馬市とRDS(東京都渋谷区)は、超高齢化社会に向けた未病対策の取り組みとして、歩行解析ロボット「RDS CORE-Ler」を活用した実証実験を行う。それに伴い歩行データを活用した取り組みの連携協定を締結した。
RDS CORE-Lerは3Dカメラを搭載したロボットが歩行姿勢を測定し、得られたデータをクラウドサーバー上で保存・解析する歩行計測システム。
歩行動作の解析を通した疾患研究に長年取り組んできた国立障害者リハビリテーションセンター研究所との共同研究により、被験者の歩行速度に合わせて移動するロボットが高精度な3次元測定を行う独自の測定方式を開発した。
同研究所の研究成果を基に、機械学習で判定精度を常に向上し、新しい健康のバロメーターとして歩行動作を定義付けていく。
従来は高価な動作解析(モーションキャプチャー)システムが必要だった歩行動作解析と同等な高精度測定を安価・簡単に行え、歩行測定に特化したことで従来よりも多項目の評価が可能になった。
高価な設備や専門性の高さが活用の壁になる高度な歩行動作解析を一般に広く普及させることで、発見が難しかった病気の早期発見や未病対策に役立つことも期待している。
健康寿命を縮める主な原因には、認知症や脳卒中、関節疾患、転倒による骨折などがあり、これらの原因と密接に関係しているのが歩行である。
糖尿病や認知症の患者は小さい歩幅で足を持ち上げずに歩くという特徴がある。歩行と人ぞれぞれの運動障害の特性やメカニズムを解析していくことは、こういった特徴をいち早く見つけることができると考えられている。
今回の実証実験では、南相馬市の一部の健康診断(希望者のみ)でRDS CORE-Lerを活用した歩行解析を行う。
被験者は10mの歩行テストを行い、取得した歩行データをRDSが所有する罹患者の歩行データに照らし合わせて検証し、未病の早期発見に努める。実証実験以外にも、市内の事業者と協力して歩行解析を活用した未病対策を推進していく。