〈特集〉の記事一覧
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「社会的処方」にこれだけの問題点 むしろ多職種連携への認識を深めよう(上)

「社会的処方」にこれだけの問題点 むしろ多職種連携への認識を深めよう(上)

藤井博之(日本福祉大学教授)
■はじめに
「社会的処方Social Prescribing」をめぐる経過を紹介し、この用語と考え方の問題点を多職種連携の視点から指摘したい。
「社会的処方」は英国で行われている、健康や病気の社会的要因に取り組む治療・予防方法である。社会的要因はSocial Determinants of Health (SDH)と表現され、公衆衛生学と臨床医学に跨がり健康・疾病と社会環境の関連を捉える政策と個別臨床の重要な概念である。私自身は、医療社会化運動に源流をもつ戦前からの「社会医学」の実践を志向し、診療や病院管理、地域活動で社会的要因にどう取り組むか関心を払ってきた。
 一方で「社会的処方」という用語には違和感がある。ここでは、①英国での取り組みの経緯と……

買い物が介護予防になるショッピングリハビリ(下)

買い物が介護予防になるショッピングリハビリ(下)

光プロジェクト・ショッピングリハビリカンパニー「ひかりサロン」
■自治体の総合事業として
 ショッピングリハビリはこうして、介護予防が必要なのに閉じこもりがちで外に出たがらなかった層をつかんでいった。ひかりサロンはフランチャイズ方式で各地に出店し、2020年10月現在、発祥の雲南市に加え北海道恵庭市、埼玉県蓮田市、兵庫県宝塚市などに7店舗を展開する。11月には、8店舗目が長野県岡谷市にオープン予定だ。これらのなかには、全国の自治体に義務付けられている介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)として展開する事業もある。
 雲南市を含む雲南広域連合は2017年度から……

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買い物が介護予防になるショッピングリハビリ(上)

買い物が介護予防になるショッピングリハビリ(上)

光プロジェクト・ショッピングリハビリカンパニー「ひかりサロン」
 ショッピングセンターの一角、「ひかりサロン」に高齢者が集まってくる。いすに腰かけ、セラピスト(OTまたはPT)の声に合わせて体操が始まる。腕を前に伸ばして両手を握ったり開いたり、ノルディックポールを両手に持って上体を動かしたり、軽く汗をかく。体操が終われば、いよいよこのプログラムの本番、買い物が始まる。買い物に欠かせないのは、独自に開発された「楽々カート」。参加者は楽々カートを押しながら食料品売り場を歩き、商品を品定めし、かごに入れていく。膝に痛みがあって長距離歩行が困難な女性が、買い物を楽しんでいる。
 これは、島根県雲南市に誕生した「ショッピングリハビリ」の一部始終だ。その名の通り、買い物しながらリハビリするサービスを提供する事業で……

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疾病の社会的要因重視には大賛成。 しかし、日本での「社会的処方」制度化は 困難で「多職種連携」推進が現実的だ(下)

疾病の社会的要因重視には大賛成。 しかし、日本での「社会的処方」制度化は 困難で「多職種連携」推進が現実的だ(下)

二木 立(日本福祉大学名誉教授)
■日本の地域包括ケアと地域共生社会
 日本では、疾病の社会的要因にストレートに取り組む動きは、まだ、ごく一部の医師・医療機関に限られています。しかし、私は、2000年前後から全国で草の根的に行われるようになり、厚生労働省も積極的に後押している「地域包括ケア(システム)」の先進事例で、患者・障害者が抱える社会的問題の解決に積極的に取り組んでいることに注目すべきと思います。その鍵が多職種連携であり、ソーシャルワーカーが「医療と社会(福祉)」をつなぐ上で大きな役割を果たしています。
 地域包括ケア(システム)の構成要素は法的には……

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疾病の社会的要因重視には大賛成。 しかし、日本での「社会的処方」制度化は 困難で「多職種連携」推進が現実的だ(上)

疾病の社会的要因重視には大賛成。 しかし、日本での「社会的処方」制度化は 困難で「多職種連携」推進が現実的だ(上)

二木 立(日本福祉大学名誉教授)
■はじめに-疾病の社会的要因の重視には大賛成
 私は、「社会的処方」導入・制度化論者が強調している疾病・健康の社会的要因(以下、疾病の社会的要因)の重視には大賛成です。なぜなら、私は元リハビリテーション専門医で、「障害者の全人間的復権」(上田敏氏)を目標とするリハビリテーション医学では、伝統的に、障害の医学的側面だけでなく社会的側面も重視してきたからです。
 2001年のWHO(世界保健機関)総会で採択された「ICF(国際生活機能分類)」の大きな特徴は、生活機能の評価に「環境因子」という観点を加えたことです。環境因子は「人々が生活し、人生を送っている物理的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子」と定義され……

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薬では治せない孤立という現代病

薬では治せない孤立という現代病

西智弘 川崎市立井田病院かわさき総合ケアセンター
■「私なんていつ死んでもいい」
 58歳のタカダさんは、胃がんの手術を受けた後、腫瘍内科外来に紹介されてきた。手術後の再発を予防すべく、抗がん剤による術後補助療法を受けるためだ。
 医師が抗がん剤治療の内容について一通り説明したあと、タカダさんに
「何か、説明の中でわからなかった点はありますか?」
と尋ねるが、タカダさんは浮かない顔で、
「いえ、別に…」
と答えるだけだった。
「抗がん剤治療について不安がありますか? それとも本当は治療をあまり受けたくないとか…」
あまりにもタカダさんが心ここにあらずという感じだったため……

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豊島区全体でコロナに対応 としま在宅感染対策チームが発足(下)

豊島区全体でコロナに対応 としま在宅感染対策チームが発足(下)

■もともと多職種連携が進んでいた
 村崎保健師はTITについて「新型コロナというテーマで、職種も所属も関係なくいろんな立場から参加して議論しあえる場が、短期間で作れたのはすごい。こういうものが1つできると、次の課題についても、同じようにやればいいという感覚が皆に身についていくと思う」と評価する。
 TITには多様な職種が参加しているが、その背景には、この地域でもともと多職種連携が進んでいたことがある、と土屋医師は指摘する。豊島区には基幹病院が1つしかなく、小規模な病院と開業医が多い。また、規模の大きな在宅専門の診療所が少ないため、必然的に開業医が在宅医療を担ってきた。その周囲の看護・介護職も自然に加わり……

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豊島区全体でコロナに対応 としま在宅感染対策チームが発足(上)

豊島区全体でコロナに対応 としま在宅感染対策チームが発足(上)

としま在宅感染対策チーム
 新型コロナウイルス感染症対策には、地域全体での取り組みが重要だ。地域包括ケア・多職種連携の先進地域として知られる東京・豊島区では、多職種による「としま在宅感染対策チーム(TIT)」が発足し、活動を開始した。中心メンバーである土屋淳郎医師(土屋医院院長)と村崎佳代子保健師(本町訪問看護ステーション)に聞いた。
■30人のコアメンバーで立ち上げ
 TITを立ち上げたきっかけは、ゆみのハートクリニックを開業している弓野大医師が、自身のSNS上のグループスレッド(コミュニティ)に、「新型コロナウイルス感染症で地域医療介護職が困っていること」というアンケートの結果を掲載したことだ。それに対し岐阜県美濃加茂市の介護福祉士が、自らが管理者を務める訪問看護ステーションで実施している対策を紹介し、感銘を受けた村崎保健師がコミュニティの参加者に「豊島区でも対策を一緒に考えていこう」と提案した。
 土屋医師にも相談し、弓野医師を引き継いだ田中宏和医師を含め3人が音頭を取る形で多職種に呼びかけ、6月末、30人ほどのコアメンバーによりTITが発足した。
 新型コロナ対策は、これまで個々の医療機関や事業所などに委ねられていた。このため、例えば在宅医療では……

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介護報酬のコロナ上乗せ特例に異議あり!

介護報酬のコロナ上乗せ特例に異議あり!

中澤まゆみ ノンフィクションライター
 デイサービスやショートステイなど、通所系・短期入所系事業者に対して、厚生労働省が6月1日から特例措置で始めた介護報酬の上乗せに、混乱が広がっている。
■利用者は悩み事業所は困惑
 この「特例」では毎月一定の回数に限り、実際にサービスを提供した時間に基づく報酬よりも「2区分上位の報酬」を算定できる。たとえば2時間以上3時間未満の場合、4時間以上5時間未満の報酬を受け取ることが可能だ。しかし、介護報酬は利用者の自己負担に直結している。サービスを提供していない時間の報酬を上乗せし、それに対して利用者に負担を求めるという、なんともおかしな措置である。
 6月中旬、友人から、「ふう、なんだかなぁ」というため息とともに、SNSメッセージが入った。母親が利用するデイサービス事業所から……

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医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(下)

医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(下)

田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
■ゲートキーパーとしてのかかりつけ医
 医療においてアクセスの保障は重要であるが、問題はその方法にある。今回の新型コロナウイルス感染症に関して諸外国の対応を報道などで聞くと、英国やオーストラリアなどでは、自分に感染の疑いがあると、病院に行くのではなく、まずはかかりつけ医に相談する。かかりつけ医は「ゲートキーパー」である、地域において患者や国民に最も近いところ位置するプライマリーケアの中心的な存在である。
 日本では、風邪などでよく受診する近所の診療所はあっても、ゲートキーパーの役割を果たすかかりつけ医は、政府が普及させようとしているものの、まだまだ未発達である。重篤な状態であれば、救急車で病院に搬送し治療する必要があるが……

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