医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(上)

2020年 7月 29日

田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
 新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、いわゆる第2波の到来になっている。政府は、緊急事態宣言の解除後(5月25日)、経済を優先して人々の往来を促しているが、医療体制は、入院患者の増大などにより、再び逼迫しつつある。感染症対応の最前線で、医療関係者が自らの命を顧みず日夜奮闘しており、改めて敬意と感謝を表したいが、その背後には、日本の医療制度の問題が垣間見える。危機は既存の制度や仕組みの矛盾を顕在化させるからだ。それらはこれまで先送りされていた問題である。本稿では、そうした問題の中でも、フリーアクセスと医療資源の配分に焦点を当てて議論する。
■フリーアクセスの“副作用”
 医療においては、一般に、アクセス、費用、質の3つの間にトレードオフの関係がある。3つを同時に成り立たせることは難しいことから、多くの国は……
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在宅の高齢患者が陽性となったら入院しなければならないのか(上)

新田國夫
新田クリニック院長、日本在宅ケアアライアンス議長
■訪問でウイルスを持ち込んではならない
 新型コロナウイルス感染症は在宅医療に何をもたらすのだろうか。厚生労働省の報道発表資料によると、日本国内で最初の患者が確認されたのは今年1月14日だ。しばらくして2月上旬、横浜港に停泊していたクルーズ船内での感染が明らかになり、船内の感染者が徐々に増えていった。正直なところ、このころは他人事のような感覚で見ていた。
 在宅療養の患者は85歳以上の方やがん、難病の方が多く、発熱は珍しいことではない。在宅患者が発熱すれば、我々医師は、原因を探るために採血して白血球、CRP等の数値を調べる。その数値が高ければ、診察での所見と併せて感染症と診断をつける。外来や入院の患者と同じ過程である。
 2月ごろまでは……

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