「第1回アジア健康長寿イノベーション賞」の受賞団体が7月27日に発表され、大賞の自立支援部門に長野県駒ケ根市、準大賞に神奈川県藤沢市の地域密着型事業所ぐるんとびーが選ばれた。...
医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(下)
田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
■ゲートキーパーとしてのかかりつけ医
医療においてアクセスの保障は重要であるが、問題はその方法にある。今回の新型コロナウイルス感染症に関して諸外国の対応を報道などで聞くと、英国やオーストラリアなどでは、自分に感染の疑いがあると、病院に行くのではなく、まずはかかりつけ医に相談する。かかりつけ医は「ゲートキーパー」である、地域において患者や国民に最も近いところ位置するプライマリーケアの中心的な存在である。
日本では、風邪などでよく受診する近所の診療所はあっても、ゲートキーパーの役割を果たすかかりつけ医は、政府が普及させようとしているものの、まだまだ未発達である。重篤な状態であれば、救急車で病院に搬送し治療する必要があるが……
医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(上)
田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、いわゆる第2波の到来になっている。政府は、緊急事態宣言の解除後(5月25日)、経済を優先して人々の往来を促しているが、医療体制は、入院患者の増大などにより、再び逼迫しつつある。感染症対応の最前線で、医療関係者が自らの命を顧みず日夜奮闘しており、改めて敬意と感謝を表したいが、その背後には、日本の医療制度の問題が垣間見える。危機は既存の制度や仕組みの矛盾を顕在化させるからだ。それらはこれまで先送りされていた問題である。本稿では、そうした問題の中でも、フリーアクセスと医療資源の配分に焦点を当てて議論する。
■フリーアクセスの“副作用”
医療においては、一般に、アクセス、費用、質の3つの間にトレードオフの関係がある。3つを同時に成り立たせることは難しいことから、多くの国は……
第8期計画指針案を承認 社保審介護保険部会
社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会は7月27日、第91回会合を開催し、第8期介護保険事業計画(2021~23年)の基本指針案を承認した。頻発する災害発生や新型コロナ感染症の流行を踏まえ、災害や感染症対策に関する体制整備を初めて盛り込んだ。
熊本県南部の豪雨災害で特別養護老人ホームの入所者14人が死亡したり、新型コロナ感染症の拡大により介護施設でクラスターが発生したりするなど、高齢者施設で……
「地域」と「在宅」が表舞台に—医療と介護の来歴を語る③
髙橋紘士×中村秀一
【髙橋】 前回までは高齢者ケアや社会保障について、国の政策としての側面から、介護保険創設以前の状況を中心に語っていただきました。ここからは、もう1つの主体である地域にスポットを当てたいと思います。介護保険がなかった時代に、地域包括ケアシステムでいうところの互助、地域住民によるセルフヘルプが自然発生的に起こりました。それが連綿と持続し広がって、介護保険創設に至るパワーの一角を形成したのではないでしょうか。
■民間や地域の力も重要な資源に
【中村】 バブルが弾ける直前の1990年ごろは景気がとても良かったから、まず民間がこの領域に入ってきたんです。各地に福祉公社ができたり……
高齢化社会から高齢社会へ—医療と介護の来歴を語る②
髙橋紘士×中村秀一
■老人医療が大きな問題となった
【髙橋】 介護保険は大改革ですが、その創設に至るまで、バブルが弾けて低成長が続くなかで費用をどうやって賄うのかという大問題がありました。消費税が導入された1989年、高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が策定されます。中村さんはそのとき…。
【中村】 1989年の年末にゴールドプランの制定が厚生、大蔵、自治の3大臣合意で決定されたとき、私は厚生省の老人保健福祉部の企画官でした。翌年、ゴールドプラン推進のため、老人福祉法など福祉8法の改正が行われ、それに企画官で携わり、そのまま老人福祉課長に就任しました。
【髙橋】 ゴールドプランを作るキーパーソンの役割を果たされた。こうした前段階があって、介護保険が可能になったと思っています。このころは行政官として、どんな思いでしたか。
【中村】 1973年の老人医療費の無料化によって、医療分野では……
僕たちは流行の最前線で新型コロナと戦った(下)
インタビュー 英裕雄
新宿ヒロクリニック院長
●保健所や地域の医療機関、事業所などとの連携は。
これまでは、ほとんど保健所と関わっていなかった。インフルエンザが流行したときでも、保健所に連絡はするけど、協働して医療を提供することはまずなかった。
■保健行政との連携は必須
ただ新型コロナについては当初からわからないことが多く、対応に戸惑うことだらけだったので、僕は2月末ごろからしょっちゅう保健所に電話して質問するようになった。患者のことだけではなく、スタッフが発熱したらどうしたらいいのかとか、症状がなくなったときの出勤の基準はあるのかとか、新型コロナウイルス感染症は指定感染症(2類相当)なので……
僕たちは流行の最前線で新型コロナと戦った(上)
インタビュー 英裕雄
新宿ヒロクリニック院長
●新型コロナウイルス感染症に対して、どう動きましたか。
新宿ヒロクリニックは東京・新宿の大久保にあって、地域の人たちに外来と在宅で医療を提供している。ご存じのとおり、このあたりはアジアを中心に外国人がたくさん住んでいて、コロナ以前は外国からの旅行者も多かった。クリニックの外来には、そういう外国人のほか、近隣の日本人高齢者も来院する。
■外来は完全予約制から一時的に休止へ
新型コロナウイルス感染症が中国で発生したときから心配で、神経をとがらせていた。2月末ごろから本格的に対応を始め、3月になると感染防御の準備に追われた。ただ、そのころは知識も物資も十分ではなく、どう対応すべきか、日々、会議したり情報収集したり……
現場の声が行政を動かし訪問介護の感染対策が前進した(下)
中澤まゆみ
ノンフィクションライター
■密になる訪問介護の感染対策が手薄だった
現場の声を行政に、と考えたのは、私自身が介護の現場に実際にかかわっていたことも大きかった。講演の仕事が次々とキャンセルされ、時間ができたため、この際、コロナ下の介護の現場を見てみようと、4月から契約で訪問介護を開始した。週2回の“なんちゃってヘルパー”だが、そこで最初に気がついたのが、訪問介護での新型コロナへの感染対策への手薄さだった。
採用された大手事業所から渡されたのは、研修テキストをコピーした実に簡素な「感染対策の基本」A4裏表1枚と、ノロウイルス対策用キット(マスク、使い捨て手袋、ビニールエプロン、説明書1枚)のみ。仲間の介護事業者に聞くと……
在宅の高齢患者が陽性となったら入院しなければならないのか(下)
新田國夫
新田クリニック院長、日本在宅ケアアライアンス議長
■認知症の人をホテルに隔離できるか
超高齢者が入院を余儀なくされる。それも、治療というよりは感染隔離のための入院である。感染隔離のための入院は、超高齢者にとってどうなのか。そこがまだ見えないので、市民も不安なのではないかと思う。
2類相当の指定感染症という規定は1年後に見直されるという説もある。だが、そんなに簡単に変わるだろうか。我々にできることは、現状のそういう枠組みのなかで、とにかく在宅療養の高齢者を感染から守ること。幸いというべきか、新田クリニックのある国立市では……
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