医療のフリーアクセスと供給体制を問いかける新型コロナ(下)

2020年 7月 29日

田中秀明 明治大学公共政策大学院教授
■ゲートキーパーとしてのかかりつけ医
 医療においてアクセスの保障は重要であるが、問題はその方法にある。今回の新型コロナウイルス感染症に関して諸外国の対応を報道などで聞くと、英国やオーストラリアなどでは、自分に感染の疑いがあると、病院に行くのではなく、まずはかかりつけ医に相談する。かかりつけ医は「ゲートキーパー」である、地域において患者や国民に最も近いところ位置するプライマリーケアの中心的な存在である。
 日本では、風邪などでよく受診する近所の診療所はあっても、ゲートキーパーの役割を果たすかかりつけ医は、政府が普及させようとしているものの、まだまだ未発達である。重篤な状態であれば、救急車で病院に搬送し治療する必要があるが……
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在宅の高齢患者が陽性となったら入院しなければならないのか(上)

新田國夫
新田クリニック院長、日本在宅ケアアライアンス議長
■訪問でウイルスを持ち込んではならない
 新型コロナウイルス感染症は在宅医療に何をもたらすのだろうか。厚生労働省の報道発表資料によると、日本国内で最初の患者が確認されたのは今年1月14日だ。しばらくして2月上旬、横浜港に停泊していたクルーズ船内での感染が明らかになり、船内の感染者が徐々に増えていった。正直なところ、このころは他人事のような感覚で見ていた。
 在宅療養の患者は85歳以上の方やがん、難病の方が多く、発熱は珍しいことではない。在宅患者が発熱すれば、我々医師は、原因を探るために採血して白血球、CRP等の数値を調べる。その数値が高ければ、診察での所見と併せて感染症と診断をつける。外来や入院の患者と同じ過程である。
 2月ごろまでは……

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