■供給先行で普及したサ高住
髙橋 サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)が登場したのは2011(平成23)年ですね。当時の厚労省老健局長は、サ高住のコンセプトを“厚生年金受給者が入居できる質の高い高齢者住宅”と説明していました。
ところが、今やサ高住は住宅でなく施設のように扱われ、囲い込みの問題も出てきています。サ高住をどう評価されますか。
田村 サ高住が登場したのは「介護保険安定期」です。サ高住の前身は高専賃で、さらにその前は高優賃でした。これらをベースに2011年、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)を改正し、サ高住が誕生しました。
そもそも高専賃のニーズはそれほど高くなくて、供給量も年間1万戸程度だったんです。ところがサ高住については、1室当たり100万程度という破格の補助金を出しました。この補助金は、土地持ちや、工務店、設計事務所、ハウスメーカーといった人には魅力的で、みんなそこに飛びついて、年間4万~5万戸と、一気に供給が進みました。
つまりサ高住に住みたいというニーズがあったから供給が進んだわけじゃなくて、先に供給サイドに火がついた。造れば目的が達成されるわけですから、造ったあと、入居者の生活支援をどうするか、その発想がないまま…
