豊島区全体でコロナに対応 としま在宅感染対策チームが発足(上)

2020年 9月 14日

としま在宅感染対策チーム
 新型コロナウイルス感染症対策には、地域全体での取り組みが重要だ。地域包括ケア・多職種連携の先進地域として知られる東京・豊島区では、多職種による「としま在宅感染対策チーム(TIT)」が発足し、活動を開始した。中心メンバーである土屋淳郎医師(土屋医院院長)と村崎佳代子保健師(本町訪問看護ステーション)に聞いた。
■30人のコアメンバーで立ち上げ
 TITを立ち上げたきっかけは、ゆみのハートクリニックを開業している弓野大医師が、自身のSNS上のグループスレッド(コミュニティ)に、「新型コロナウイルス感染症で地域医療介護職が困っていること」というアンケートの結果を掲載したことだ。それに対し岐阜県美濃加茂市の介護福祉士が、自らが管理者を務める訪問看護ステーションで実施している対策を紹介し、感銘を受けた村崎保健師がコミュニティの参加者に「豊島区でも対策を一緒に考えていこう」と提案した。
 土屋医師にも相談し、弓野医師を引き継いだ田中宏和医師を含め3人が音頭を取る形で多職種に呼びかけ、6月末、30人ほどのコアメンバーによりTITが発足した。
 新型コロナ対策は、これまで個々の医療機関や事業所などに委ねられていた。このため、例えば在宅医療では……
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僕たちは流行の最前線で新型コロナと戦った(上)

インタビュー 英裕雄
新宿ヒロクリニック院長
●新型コロナウイルス感染症に対して、どう動きましたか。
 新宿ヒロクリニックは東京・新宿の大久保にあって、地域の人たちに外来と在宅で医療を提供している。ご存じのとおり、このあたりはアジアを中心に外国人がたくさん住んでいて、コロナ以前は外国からの旅行者も多かった。クリニックの外来には、そういう外国人のほか、近隣の日本人高齢者も来院する。
■外来は完全予約制から一時的に休止へ
 新型コロナウイルス感染症が中国で発生したときから心配で、神経をとがらせていた。2月末ごろから本格的に対応を始め、3月になると感染防御の準備に追われた。ただ、そのころは知識も物資も十分ではなく、どう対応すべきか、日々、会議したり情報収集したり……

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現場の声が行政を動かし訪問介護の感染対策が前進した(下)

中澤まゆみ
ノンフィクションライター
■密になる訪問介護の感染対策が手薄だった
 現場の声を行政に、と考えたのは、私自身が介護の現場に実際にかかわっていたことも大きかった。講演の仕事が次々とキャンセルされ、時間ができたため、この際、コロナ下の介護の現場を見てみようと、4月から契約で訪問介護を開始した。週2回の“なんちゃってヘルパー”だが、そこで最初に気がついたのが、訪問介護での新型コロナへの感染対策への手薄さだった。
 採用された大手事業所から渡されたのは、研修テキストをコピーした実に簡素な「感染対策の基本」A4裏表1枚と、ノロウイルス対策用キット(マスク、使い捨て手袋、ビニールエプロン、説明書1枚)のみ。仲間の介護事業者に聞くと……

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在宅の高齢患者が陽性となったら入院しなければならないのか(下)

新田國夫
新田クリニック院長、日本在宅ケアアライアンス議長
■認知症の人をホテルに隔離できるか
 超高齢者が入院を余儀なくされる。それも、治療というよりは感染隔離のための入院である。感染隔離のための入院は、超高齢者にとってどうなのか。そこがまだ見えないので、市民も不安なのではないかと思う。
 2類相当の指定感染症という規定は1年後に見直されるという説もある。だが、そんなに簡単に変わるだろうか。我々にできることは、現状のそういう枠組みのなかで、とにかく在宅療養の高齢者を感染から守ること。幸いというべきか、新田クリニックのある国立市では……

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現場の声が行政を動かし訪問介護の感染対策が前進した(上)

中澤まゆみ
ノンフィクションライター
■介護従事者の状況が報道されない
 5月25日、首都圏と北海道で発令されていた新型コロナによる「緊急事態宣言」が、1か月半ぶりに解除された。「この半年は、コロナで終わっちゃったね」と、友人たちとため息交じりで苦笑する日々だ。
 今回のコロナ禍では、これまでなおざりにされてきた多くの問題が噴出した。医療では感染症に対する認識の低さ、経済では非正規労働者やひとり親家庭に対するセーフティネットの弱さ、社会的には日本社会の根源にある同調圧力など、数えるにいとまはないが、ダメージを受けているのはいずれも「生活者」であり「弱者」だ。介護でも感染に対する対策の遅れと、利用者を支えるサービスの脆弱性が、大きく浮かび上がっている。
 国内で「新型肺炎」の初の感染者が報道されたのは今年の1月16日。その後、武漢市が閉鎖され……

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