2024年度診療報酬改定は、“短冊”(個別改定項目)が発表され、方向性が見えてきました。今回の改定は単に点数が変わっただけでなく、これからの日本の医療の行く末を示す重要な改定であると認識しています。
それは「2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現」に示されたものが、本気で始まってきたことです。
高齢者人口はやがて伸びなくなり、単身世帯・夫婦のみ世帯が急増することを見据えています。現役世代が急減することも明らかです。その対策は「より少ない人手でも回る医療・福祉の現場を実現」することで、その方向性が今回の改定のキーワードではないでしょうか。
DX化はその切り札であると位置づけられ、そこを見据えて診療・介護報酬の改定も行われているように感じます。診療報酬は、今回6月1日実施と、2カ月後ろ倒しになります。
■在宅医療の需要増に対応
調剤では、在宅医療・服薬フォローアップ・医療DXの3点が大きなテーマです。
トリプル改定においては「在宅医療」が重視されています。2040年に向けて在宅医療の需要が増大していくとみられており…
公立七戸病院にリアルタイム遠隔医療システム
青森県七戸町の公立七戸病院は、ウィーメックス(東京都渋谷区)のリアルタイム遠隔医療システム「Teladoc HEALTH」を県内の医療機関で初めて導入する。
併せて、同社が「企業版ふるさと納税」制度を活用し、七戸町と東北町に「Teladoc HEALTH Viewpoint」7台と「Teladoc HEALTH Mini Cart」1台を寄付する。
Teladoc HEALTHは専門医の少ない医療機関と遠隔地の専門医をオンラインでつなぐ、リモート操作が可能なリアルタイム遠隔医療システム。超音波診断装置などの周辺医療機器と接続し…
第21回 医療も介護もプラス改定だけど、ホントは
医療も介護も新年度からの報酬改定がまとまった。どちらも、かなりぎりぎりの内容である。表向きは「プラス改定」だが、人件費のベースアップを除けば、医療も介護もほぼゼロ改定だ。深刻さが世の中に共有されていないと思う。いくらか話題になったのは介護報酬の訪問介護だろうか。
■訪問介護引き下げの背景
介護報酬は、介護職の処遇改善に0.98%、介護職以外の処遇改善に0.61%を充てて1.59%のプラス改定である。プラス改定の全てを賃上げに充てた格好だ。事業所の収入に当たる報酬はゼロ改定だ。
そうはいっても、報酬改定は政策誘導のために行うものだから、上げる部分もあれば下げる部分もある。引き上げたのは、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の基本報酬だ。事前の経営実態調査で赤字であることが分かっていた。
ゼロ改定なのに、どこかを引き上げるには、どこかを下げて原資を調達するしかない。ターゲットになったのは…
第19回 大災害と大事故を自分に引き寄せてBCPを考える
能登半島地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。2024年がスタートしてあっという間に3カ月になります。1月1日に発災した能登半島地震と、その翌日に起こった日本航空と海上保安庁機の衝突炎上事故は、辰年の大きな記録として残っていくことでしょう。
■薬剤師会はモバイル薬局を派遣
能登の様子をテレビで拝見し、東日本大震災の際にお手伝いに行って目にした光景が目に浮かびました。今回も多くの薬剤師仲間が支援に行っています。介護関係者もボランティアで参加しています。
大きな災害が起きるたびに、支援の様子も進化しているようです。発災直後から7日目まで・2~3週目・それ以降と、その時々に必要とされるものは何か、支援者はどう動くべきか、積み重なった経験が…
介護報酬改定で経営が逼迫なら支援策を 小規模事業者の継続は協働化がカギ 石田路子・名古屋学芸大学客員教授🆕
今回の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬がすべて引き下げられた。これにより、今後、訪問介護はどうなっていくと考えられるか。また、打撃を受けるとみられる小規模事業者はどうしたらいいのか。介護報酬改定を議論してきた厚生労働相社会保障審議会介護給付費分科会の委員を務め、議論に参加してきた石田路子・名古屋学芸大学客員教授に聞いた。
■処遇改善の方向性は評価
――今回の介護報酬改定の内容を全体としてはどう評価していますか。
介護人材不足がいよいよ深刻化する中、処遇改善をとにかくやろうという、その方向性そのものについては間違いないし、今回は処遇改善に向けての施策がかなり講じられたのは確かだと思います。
――訪問介護の基本報酬だけが引き下げられたことについては。
収支差率に基づいて厚労省が判断をしたということになると思います。昨年度の実績では、特養が前年度に比べマイナス1. 0%、老健がマイナス1. 1%だったのに対し、訪問介護は7. 8%とかなり大きなプラスになりました。
さらに、定期巡回・随時対応型訪問介護が11. 0%、夜間対応型訪問介護については9. 9%というように、高い数字になっているものですから、訪問に関しては…
宮城県南地域へ在宅医療提供 医療法人やまと
東北・関東・四国で在宅医療を中心とした診療所を10カ所運営している医療法人社団やまと(宮城県登米市)は、同県白石市に「やまと在宅診療所白石」を開設する。 これまで同県内では仙台以北の地域に在宅医療を提供してきた。やまと白石の開設により、県南地域で在宅医療を提供する。...
第43回 多職種の災害支援チーム、LSATをつくりたい
■地域を守りながら復興を
能登半島地震からもう1カ月半、高齢化が進む地域の人びとを思う。在宅ケアアライアンスの参加団体も、それぞれが動いている。アライアンスとしても災害対策委員会が発災翌日から動き、連絡網をつくり、活動している。
能登半島という地形の特性が被害を大きくし、東日本大震災や熊本地震とは異なる被害の様相である。まだ水道が復旧しない地域もある。ようやく仮設住宅ができ始めたが、もとの暮らしを取り戻すには時間がかかるだろう。ご苦労はいかばかりか。
2011年の東日本大震災では、仮設住宅に入居する際、もともと暮らしていた地域が考慮されなかったので、隣人もお向かいも知らない人ばかり、という状況になった。地域はバラバラになってしまった。2016年の熊本地震では…
「ころやわ」の自宅向け月額サービスを開始
Magic Shields(静岡県浜松市)は、高齢者の転倒・骨折リスクを低減する床「ころやわ」の自宅向け月額定額サービス「ころやわ―おうちレンタル-」を3月1日から開始する。 560以上の医療機関・介護施設への導入実績があるころやわを自宅向けに提供する。初期費用や工事は必要なく、不要になった際には返品できる。...
座位漏れ防ぐ紙パンツ用パッド開発 大王製紙
大王製紙は、座った姿勢での尿漏れに着目した「アテントRケア 紙パンツ用パッド座位モレも防ぐ」(2回吸収/4回吸収/6回吸収)を3月21日から全国の病院・介護施設向けに発売する。 同社の調査によると、紙おむつ使用者の3人に2人が「リハビリ時、おむつに不満を感じている様子がある」と回答した。...
第22回 2024年の社会保障を考える(上)
2024年は元日から能登半島地震に見舞われ、2日には海上保安庁の救援航空機と日本航空機が羽田空港滑走路上で衝突する事件が起こるなど、波乱の幕開けとなった。
昨年末には自民党の派閥をめぐる政治資金問題が岸田政権を直撃し、2024年の政界の見通しは極めて不透明になっている。そのような中で、年初に当たり、今年の社会保障について展望したい。まずは、その前提として現在の我々の位置について確認することから始めよう。
Ⅰ「福祉元年」から半世紀
2023年は「福祉元年」といわれた1973年から半世紀の記念すべき年であった。わが国の社会保障の歴史を語る上で、1961年の国民皆保険・皆年金の達成とともに…
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