〈【権丈善一】そろそろ社会保障のこと、まじめに考えたらどうだ。。。〉の記事一覧
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第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(下)

第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(下)

 さてここまでくると、前回の冒頭に紹介したハンス・ロスリングやスティーブン・ピンカーたちと同じ問題意識になってくるのである。
■脳の原始的な機能は現代ではバグと化す
 ハンス・ロスリングは、人はなぜ間違えるのか、人はなぜ事実とは完全に異なる「ドラマチックな世界の見方」に溺れるのかという問いに対して、最初は、知識のアップデートが足りないからであると考えたようである。しかしそれはどうも違うと思い、悪徳メディアやプロパガンダやフェイクニュースが原因ではないかと考えていくようになる。だが、そうした考えは間違いであることに気付いていく。そしてたどり着いた先は、「脳の機能」にあるというものであった。
 ハンス・ロスリングよりも前に、人間の本能の問題を考えていったのが、スティーブン・ピンカーである。彼の考えは、次の一言に……

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第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(下)

第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(上)

 このコーナーのタイトルは、「そろそろ社会保障のこと、まじめに考えたらどうだ。。。」である。連載の2回目には、「まじめに考える」ということはどういうことなのか? について書いてみようかと思う。
■なぜ人は年金に関して誤った信念を抱くのか
 しばしば、次のような話をする。
 日本ではもちろん、世界中で大ベストセラーとなっている『ファクトフルネス』の著者ハンス・ロスリングは公衆衛生を専門とする医師、そして、マイクロソフトのビル・ゲイツに「世界は良くなり続けている。たとえ、いつもはそんなふうに思えないとしても。…大局的な視点から世界の姿を我々に見せてくれる」と評さていた『21世紀の啓蒙』の著者スティーブン・ピンカーは言語能力の獲得過程を研究してきた言語学者・心理学者、それから、『ちょっと気になる社会保障』などの著者である私(笑)は経済学者――おそれながら、彼らにはある種の共通点がある。さて、それは何?
 それは、彼らの論には認知とか本能という言葉が何度もでてくることである。
 私は、2004年に行われた年金改革の大騒動の頃から、いいかげんな年金論を言う論者達に、それ間違えているよっと諭(さと)す、年金誤解を解く請負人、鬼退治をする桃太郎侍のような役回りにさせられていた。あれからもうすぐ20年近くなるのであるが……

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第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(下)

第1回 社会保障ナンバーの必要性――映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」に思うもの (下)

■本当に困っている人がわからない日本
 最近のイギリスにおける「即時的情報(Real Time Information)計画」をはじめ、以前からアメリカの社会保障番号などが整備されてきた状況を考えれば、国民の所得、生活の状態を国が把握できていないということが、今や先進国の中の日本の際だった特徴になりつつある。日本では、住民税非課税世帯であるかどうかの情報くらいしか国側からはわかっておらず、今回の新型コロナが襲った国民の生活を、政策として支えようにも誰が本当に困っているのか、残念ながらよくわからないのである。
 タックス・クレジットを行うためには、所得の随時捕捉は必要であるから、それを行う国では、そうしたインフラの整備が進められてきた。だからそうした国々は……

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第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(下)

第1回 社会保障ナンバーの必要性――映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」に思うもの (上)

 オンライン生活に入っていった3月から4月頃、家の中でついつい、「ダニエル状態」という言葉をつかってしまっていた――ケン・ローチ監督に申し訳なく思っている。
■セーフティネットから漏れ落ちるダニエル
 ダニエルとは、映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」のダニエルのことで、彼は59歳で心臓発作を起こし、医師から働くことを止められていた。イギリスでは、就労が可能なのかどうかを福祉事務所でチェックを受けることになっており、ダニエルは、政府の委託業者によるマニュアル通りの問診に嫌気がさした返事をしてしまい、就労可能の判定を出されてしまう。そうなると、彼は、ユニバーサル・クレジットという、日本でいう生活保護や失業給付などが統合された普遍的(ユニバーサル)な制度の対象とならざるを得なくなる。

 この制度は、就労を促進するための仕組みが組み込まれている代わりに……

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